4.Kiside ページ5
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「……北山宏光…」
ドアに寄りかかったまま、小さい声でそう呟き、俺に近づいてきた。
「…なんだよっ」
「ん?挨拶しにきた。
よろしく、お兄ちゃん。」
差し出された手を払うことができずそのまま握手を交わした。
「あ、そういえばね、俺もピアノ弾けんだよ。昔、習わされててね。
まぁこう見えても坊ちゃんなもんで…って、みつも坊ちゃんになるのか、ハハハ」
「………は、なんで…みつ…?」
「あ〜だってさ、いつもお前の隣にいる奴…なんだっけ。
二階堂?三階堂?って名前の奴が呼んでんじゃん、みつって。」
いや、三階堂って何だよ…
ボケにしちゃつまんな過ぎだし、天然…?
「だからみつも、俺のことたいぴーって呼んでねっ☆」
この人本当に変だ。
見た目も中身も随分とチャラい。
こんな奴の親父を好きになるなんて、俺はこの時初めて、母さんをおかしいと思った。
……ごめん母さん。
そもそも、なんでこいつは俺のこと色々知ってんだ?
不思議に思ったけど、単純に、学年の人気者になるような奴はこんな地味な俺のことまで把握してるんだ…さすがだな、なんて、この時はそう思ってた。
「ね、やっぱさっきの曲もっかい聞きたいな〜」
「……もう弾けないと思う」
「なんで?」
「…指が…勝手に動いたから」
何故か目を合わせられなくて鍵盤に向かって話すと、急に頭が重くなった。
「ってことは自分で作ったってこと?すごいなーお前」
って話しながら慣れた手つきで俺の頭を撫でてくる。
「……なに…っ、」
「お、雨降ってきた。」
俺の言葉を見事にスルーして違う話に持って行きやがった。
あ、こんなこと言ってる場合じゃない。
今日傘持ってきてないんだ。
「傘ないの?送ってく?」
「…は、お前、車でお迎えとかくんの?」
「違う、傘、入れてやるから…」
「………いや、いい」
「なんで」
「いいってば」
「遠慮すんなよ」
「もし誰かに見られたら嫌なんだよ。
有名人のお前と、地味で影の薄い俺が一緒に歩いて変な噂になったら面倒だろ。」
「ふーん」
何か企んでいるような笑みを浮かべた藤ヶ谷から突然不協和音がしたと思ったら、何かが唇に触れた。
…え…キス、された、?
「……な、なにすんだよっ、!」
「なにって…変な噂、事実にすればいんだろ?」
そう言い残し彼奴は立ち去った。
そして翌々日、母親の再婚相手の息子として、藤ヶ谷との生活が始まった。
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藤北ラブ(プロフ) - 小説読みました。続きが気になります。更新待ってます。 (2016年6月7日 10時) (レス) id: bc8d395f08 (このIDを非表示/違反報告)
ま き ぽ よ(プロフ) - 初めまして!コメントありがとうございます!キュンってして頂けるなんて嬉しいです〜(;_;)これからも更新頑張りますので応援よろしくお願いします!☆ (2015年8月29日 0時) (レス) id: b6c124bb79 (このIDを非表示/違反報告)
ryrh(プロフ) - 待ってました! いや、すいません。初めまして。興奮して初めてコメントさせていただきました。 キュンってしてやばいです。更新うを楽しみに待ってますが、無理せずマイペースで頑張ってください☆ (2015年8月28日 7時) (レス) id: 623662a882 (このIDを非表示/違反報告)
ま き ぽ よ(プロフ) - かばさん» 初めまして!コメントありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいし励みになりますヽ(;▽;)ノ相変わらずノロノロ更新ですが、是非最後まで読んでいってください((o( ^_^ )o)) (2015年7月26日 3時) (レス) id: b6c124bb79 (このIDを非表示/違反報告)
かば(プロフ) - はじめまして(*^^*)brother楽しみに読ませていただいてます!良い展開になってきましたね〜藤北はやっぱキュンキュンします!!北山くんが自分の気持ちに気づくのを楽しみにしてます♪♪更新頑張って下さい(^o^)v (2015年7月23日 16時) (レス) id: a96195b9d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ま き ぽ よ | 作成日時:2015年7月8日 1時