brother

１１.Ｆside ページ12

.



…っ……びっくり…した。


ひろを捜しに歩いてたら、人混みの少ないガード下に人の足？みたいなのが見えて、

酔っ払いかホームレスが寝てるのかな、なんて思ったんだけど、よくみたら誰かが襲われてた。


助けなきゃ！ってとっさに体が動いたんだけど、



何処かで見たことのあるこのスニーカー…




…？…え、ひろ…？





考えてる暇なんてなかった。


急いで走って、ひろに覆い被さってる奴の首根っこを掴まえて、何発かぶん殴った。



「っ、ひろ！！！！」

うっすら涙の跡が顔に残っているひろの手を引き、俺たちは急いで走り出した。


……まるで、あの日のように…。



最初のうちは、奴も追っかけてきたんだけど、体力が無くなったのか、いつの間にか姿は見えなくなっていた。


唖然としながらも俺の手を離さずに走るひろとそのまま走り続け、家へと駆け込んだ。




急いで玄関を開けて入ると、すぐに壁にズリズリとなりながら、ひろがしゃがみ込んだ。


「…ど、して、たい…すけ、？」

まだ整わない息でゼェゼェ言いながら、こう尋ねてきた。


「っ…いつになっても帰ってこねぇしっ、電話しても出ねぇし、心配で捜しに行ったら偶然…ハァ…、っ」



よかった。本当によかった。
ひろが無事でよかった。


「ほんとよかった…っひろ…」

思わずギュッと抱きしめて、そう呟いた。


「バカか、なんでお前が泣いてんだ。
助けてくれたときは、ちょっとカッコイイとこあんじゃんって思ってたのに」


まったく…。
どう見ても平気じゃないのに、強がってんじゃねえよ。

こんなこと言いながらもさっきからずっと涙声だし、身体の震えは止まってないし。




…でも何もかも気づかないフリ。

頭は超〜良いのに、強がりで頑固で意地っ張りだもんな、ひろは。



それにしても、思い出せば思い出すほど怒りが込み上げてくる。


あの野郎、もっとボコッとけばよかった。



.

１２.Ｆside→←１０.Ｆside

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す