at 病院 ページ10
必死で走って安田さんのもとへ…。
途中、信号待ちの時に何か持って行かなきゃ
と思い花屋さんに寄った。
店の前で綺麗に咲くお花、
それがなんとなく目に入ってブーケにしもらう。
やっとお姉さんに教えてもらった病室にたどり着く。
だけど
さっきから鳴ってる私の携帯電話が邪魔をする。
画面には着信10件の文字。
『もしもし。』
「はぁ、やっと出てくれました。
お嬢様、社長が仕事の話で聞きたいことがあるそうです。
至急、いつ帰ってくるか電話をくれとのことですが。
今どこにいらっしゃるのですか？」
『・・・』
「お嬢様？」
『病院、です。』
「なっ、あの方に会いに行くのですか。」
『…⁉川島さん、安田さんのこと
知ってたんですか。』
「…とにかく、お嬢様が安田さんに会いに行ったところで
何もできるとは思えませんし、
次は本当に会社を立て直すことができなくなりますよ。
いいんですか。
社長が1から作って来たこの会社がなくなっても。」
病室の前で考える。
ここを開けてしまうと前みたいになって
今の生活を壊しかねない。
私には壊す勇気がなかった。
私はお見舞いの花を病室の前に置いて
その場を去った。
引き返すとき
「A？」
という声が聞こえた。
それは私の大好きな声で。
聞くだけで涙が出そうになった。
すぐにでも振り返りたかった。
だけど、私の後ろにあるものが邪魔をする。
だから、急いでその場を去った。
誰も追いかけては来なかった。
私はこれでよかったんだと言い聞かせて
家に帰った。、
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作者名：kameco | 作成日時：2018年10月27日 12時
