４０億の時の針

時・19 ページ21

◆ 太輔・side ◆

バサッ。



「ふぅ、… 」



目の前に置いた手提げ袋…


手を入れ、オレンジの紙袋を取り出した。



「重いよな、何が入ってるのかな？」



カサッ…



覗くと 一つずつ袋に包まれたお菓子…



まるで売り物みたいに綺麗だ。



「すげぇ… カップケーキにクッキー、これ、クレープかな？あ、マカロンまである」


「あ、でも、これが重いんだ！」



一番底に入ってたのは 陶器のミニカップに入ったプリン。


５種類ほどのお菓子が狭い紙袋の中にいっぱい入っていた。



「うわ… どれから食べよう？？」


「あ、俺、プリン食べたい」



… え？




！！？



「おわ！！ワタ！！」


「プリン 頂戴」



スッと手を出して 俺が持ってたプリンを奪った。



「だ！ダメ！！」


「んだよ、ケチ… じゃあ カップケーキでいいよ」



カップケーキにも手を伸ばす 渉。


それを抱え込み 取られないようにした。



「何？全部食べる気？太るぞ」


「あ、… だよな… 」



これ全部食べたら…



一日のカロリーオーバー。



でも、未練タラタラ…



「じゃあ、半分こしない？」


「半分こ？」



渉がにんまり。



「結局、ワタが食べたいだけじゃん」


「そう、食べたいだけ」



しょうがなく すべてのお菓子を半分こ。


驚いたことに すべてが すごく旨い。



「すげぇ、旨い」


「だよね、この前のパンケーキもめちゃくちゃ旨かったもん」



最後に残ったのは、プリン。



ぱくっ。




…




…




「これ、どこのケーキ屋？」


「え？」



どこって…



「買いに行きたい… ガチで」


「何が入ってるんだろう？濃厚なのに 後味サッパリって」



パンケーキの時もそうだったな…


普通の感じじゃないよな？



「連れてって、この店」


「い、いや… それは無理かな？」



偽名だったし…



もう 行かないかもしれないし…



「もしかして これ、店じゃないとか？」



ドキッ！！




…



「なるほど… 太輔が浮気、へぇ〜… 」


「ち、違う！ディラー！！そこのお菓子！！」



渉が『 はぁ？ 』って顔で 俺を見た。



「ディラー？ああ、あのパンフレットの？」


「そう！！そこから もらったの！！」




間違いじゃない。




断じて 浮気なんかじゃない！！




思いっきり否定！！




でも、鼻っから疑っていたんだ…




そう… 渉は、俺が彼女に惹かれ始めていることを見抜いていた。

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