４０億の時の針

時・9 ページ11

◆ 太輔・side ◆

挙動不審な彼女…


案内することなく ぼ〜っと外の景色を見ている。


でも、そろそろ５キロ以上 走ってるけど… 全然 声をかけてくれない。


このまま 走ってていいのかな？


でも、俺…


さっきから トイレ行きたくなってきたんだよな…


かっこ悪いかもしれないけど 我慢できず 声をかけた。


案の定、彼女は ぼ〜っとしてたらしい。ココがどこだかさえもわからなかった。




ジャァ―――――…




「はぁ〜… スッキリした」


「なんでコーヒー飲むと行きたくなるんだろう？？」



手を洗い スッキリし、トイレを出た。



ふと 路駐している試乗車に目をやった。



「あの子… 疲れてるのかな… 」



窓に項垂れるようにもたれてるし…



きっと ノルマとかが大変なのかもな(勝手な妄想)



「… 喉 乾いたな」



…



キィ… バタン。




…




「お待たせして すみません」


「い、いえ、こちらこそ 申し訳ございません」



ペコペコ謝る彼女…



スッと目の前に差し出した。



自分用にも買ったが 元気のない彼女にも買った。



最近 俺が嵌ってる タピオカほうじ茶ラテ。



「… え？」


「良ければ どうぞ」



驚いた瞳。めちゃくちゃラテと俺を交互に見てる。



ぷっ！可愛いかも。



「わ、私に… で、す、か？」


「うん、君に。美味しいパンケーキの御礼」



あの パンケーキは 本当に美味しかった。


渉が作るのも好きだけど 渉のとは何かが違う、でも 俺の口にはすごく合った。


彼女が作った物とはわからないけど 何か御礼をしたかった。



「私に… 」



そんなに驚くこと？


あ、でも こんなことをする客なんかいないよな、驚いて当然か。



「んふふっ… 」



ん？



「ありがとうございます！大切にします！」



へ？



「大切にって… 」



…




本当に嬉しそうにラテを見つめる彼女…




なんか…




…




…




「あれ？太輔？車でも買うの？」



… え？




車… ？



「太輔？」


「あ、わた… はよ」



渉が俺が持ってるパンフレットを取り上げた。


パンフレットに挟んでいる 見積書も見比べていた。



「いいんじゃない？これ かっこいいし、太輔に合ってる」


「… そうかな？」



俺に合ってる…



「何？決め兼ねてるの？」


「車検あるうちに売った方がいいと思うけど」



だよな…




でも、なぜか踏み出せない。




なんでだろう？

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