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三郎SIDE



―――――『兄ちゃん見つけた。シブヤだ』


そのメールを見たと同時に僕はイケブクロ駅に向かって走り出した。

(シブヤ??何でそんな所に……いや、とにかく無事ってだけでいい…――――)


駅で切符を買えば、丁度二郎と鉢合わせた。


「!!…二郎!!」

二「!!……三郎」

お互い何も言わないけれど、確かに二郎の表情には安堵が浮かんでいた。

…多分、僕だってそんな顔だったと、鏡で見ていないけれどそう思う。

そのまま二人でシブヤ行きの電車に乗ってはポツリと口を開く。


「――――……良かった」

二「……おう」

口をついて出た言葉に短い返事と共に頭を撫でられる感覚に目を細めつつ顔を伏せる。


(……ちょっと、寂しいせいだから。別に甘えてる訳じゃないから)


そう自身に言い訳するように、ポスンと二郎に肩に寄り掛かった。




二「――――アイツらが兄ちゃん見たのは駅前の広場って言ってたんだけど……」

「……シブヤ駅の広場ってことは向こうかな…」


電車を降りては辺りを見渡しながら二郎と駅の中を歩き出す。

一にいを見つけたのは二郎の大勢居る友達の内の一人らしい。

……別に羨ましくないし。



(…??……人だかりが出来てる……)

駅前の広場に来れば女性と男性の人だかりが出来ていた。


二「??……何か起きてんのか??」

二郎が首を傾げつつ人ごみに近寄れば「おい、なんかやってんのか??」と女性に声を掛ける。


女「??……ば、バスブロの二郎君!?!?」

二「お、おう……」

女「えー!!何でシブヤにいるの!!あ、三郎君だ!!」


遠目に見ていたがあっという間に囲まれてしまえば人ごみがこっちに移ってきた。


「ちょ…おい低能!!お前のせいだぞ!!」

二「お、俺のせいかよ!?!?」

「当たり前だろ!?」


あっという間に囲まれた現状にため息を吐きつつも駄目元で口を開く。


「あの……一にい見てませんか??シブヤの駅近くに居ると聞いて……」

そう問いかければ女性たちは目を瞬かせてから全員がバッと広場の方を見て指を指した。


(……え!?!?)

思わず目を見開き二郎と顔を見合わせてはバッと走って人ごみを抜ける。





短く切られた黒髪。


右耳に光る赤色の宝石のピアス。


学生服を着崩した格好。


右腕に巻かれたバンダナ。


―――――……そして誰も近寄らせない、圧倒的なオーラ。







―――――まるで高校の時の兄の姿がそこにあった。

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だふにあ - 続きをお待ちしています!!!!!!!とても気に入りました!!!!!!! (2021年6月16日 19時) (レス) id: db3e93e9ba (このIDを非表示/違反報告)
白玉うどん - 続きお待ちしてます!!頑張って下さい!!めっちゃ好きです!! (2021年5月21日 21時) (レス) id: fccb4e77b5 (このIDを非表示/違反報告)
ふーちゃん(プロフ) - 続き待ってます!頑張って! (2021年4月11日 18時) (レス) id: 9172c0bbed (このIDを非表示/違反報告)
@黒(プロフ) - 半分ニートガールさん» コメントありがとうございます!!実は私も結構この設定はいろんなシチュエーションが書けるので面白いです(((更新がんばります!! (2019年7月23日 11時) (レス) id: 124f92440d (このIDを非表示/違反報告)
@黒(プロフ) - 文月さん» コメントありがとうございます!!面白いと言っていただき嬉しいです!!更新ゆっくりですが頑張ります!! (2019年7月23日 11時) (レス) id: 124f92440d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:@黒 | 作成日時:2019年3月21日 16時

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