亀裂 ページ12
「お疲れ様でした」
仕事を終えて会社を出る
数分前に“今から帰る”とメッセージを送ったけど
珍しく、Aからの返信は無い
うたた寝でもしてる？
それとも
また母さんが何か…
心配になり
自然と歩くスピードが速くなる
車のキーを探していると
静かな駐車場に聞き慣れた着信音が響く
「誰だ…」
画面に表示された《母さん》の文字
それを見ただけでため息が出る
やっぱり何かをやらかしたのだろうか
「…もしもし」
『ジョンイナ
仕事は終わった？』
「終わりました。何の用ですか？」
一刻も早くAに会いたい
顔を見て安心したい
だから、電話なんかに邪魔されたくないのに
『重大ニュースがあるから、早く知らせないとと思ってね』
「ニュース…？」
『あの子が家を出たわ』
「……」
『キム・Aが家を出たの』
「…
…出た、って
それは」
『もう戻らないと思うわ』
電話の向こうからクスクス笑う声が聞こえて来て
虫唾が走る
「…今度は何をしたんですか。
ただでさえ傷ついてるAに一体何を」
『私は、あの子の父親に事実を教えただけよ』
「……」
『ジョンインの婚約者であるダジョンが、男たちを使ってあの子を襲わせたこととか
私やジアが今まであの子にどんなことをしてきたか、とか
全て正直に話したわ』
「は…？」
聞こえてくる言葉が
1つも理解出来ない
『驚いてたわよ。
昨日のこともそうだけど、それ以上に
私があの子を嫌ってるということがショックだったみたい。
あの子がこの家で幸せに暮らしてると思い込んでたのね、きっと』
このとき
俺の頭には
お義父さんの笑顔が浮かんでいた
“ありがとうジョンインくん。Aを大切にしてくれて、感謝してる”
“これからも君Aの笑顔を守ってくれると嬉しいな”
“頼もしい息子だ”
…信じてくれていたのに
俺は、その信頼を裏切ってしまった
深まる溝から目を逸らし
“守る”と言いながら
何度も傷つけて
いつか解決するだろう、なんて
考えが甘かった
Aのことも
Aを大切に思う人たちのことも
どうして もっと大事に出来なかったのだろうか
『そういうわけだから
あなたももう諦めて』
「帰りません」
『え？』
「今夜だけか、この先ずっとか、それはわかりませんけど
とりあえず今日は帰りません。
俺が会いたいのはあなたじゃありませんから」
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そら(プロフ) - とても面白くて一気読みしちゃいました！！また読みにきます！ (2022年4月1日 23時) (
レス) @page28 id: ba25a8467e (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - わーいジョイナ^_^ (2020年3月30日 22時) (レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 何回も何回も読み返しているので続編の更新本当に嬉しいです。毎日イヤなニュースばかりですが楽しみがまた出来ました。ありがとうございます。 (2020年3月30日 22時) (レス) id: 5075b515c0 (このIDを非表示/違反報告)
こゆ(プロフ) - 以前から少し拝見させて頂いてましたが、時間が空いてしまったので初めから一気に読み直しました！ 何度読んでもニヤニヤして、胸が痛くなってとても感情移入して読んでいました！楽しかったです、ありがとうございました！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 448e876d4c (このIDを非表示/違反報告)
sumi(プロフ) - はじめまして^^* 始めからがーっと！一気に読みました！泣いた泣いた(；A；)面白かったです！レモンさん感動ありがとうございましたー！ (2020年1月4日 18時) (レス) id: 8b7afa5c98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レモン
| 作成日時：2019年8月17日 12時
