わたし、メリーさん。お仕事開始、なの……。 ページ18
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「……店長のおかげで、八尺様を封印地域のギリギリまでおびき出せたの。わたし達も、そろそろ行くの。」
封印地域。先ほど教えてもらってばかりだが、“八尺様”はある特定の地域にのみ出現するよう、結界で封印されているらしい。要は「ここからここまでは自由に行動していいから、それ以外の地域には行くな」と八尺様に示しているわけだ。その封印された地域と言うのがここ東雲市で、不運にもあっきーが目を付けられたというわけだ。
「……！！」
封印地域を一歩出た途端、周りの空気が変わるのを肌で感じた。禍々しい雰囲気というか、何というか。言葉では言い表せないけど、本能が警鐘を鳴らした。
「何度も言うけど、ここから先は本当に危ないの……。メリーさんから、絶対に離れない事を約束するの。でも、何だかおかしいの……。」
「おかしい？」
「八尺様ほど高位の怪異が放つ瘴気にしては、少し小さいの。」
いつも通りの真顔で言い放つ彼女を見て、僕は背筋が凍る思いだった。そんな僕の様子を見てとったのか、彼女はふっと微笑む。
「こう見えてもメリーさんは、怪異の中ではトップクラスの強さを誇るの。２０歳前の小僧から労られる程、ヤワな人生は送ってない、なの……。」
……メリーさんはどうやら、この世界の少年漫画がお気に入りらしい。怪異だから幼女の姿をしているだけで年齢不詳だし、確かに心配しなくて良いのかもしれない。
と、その時。
「ぼっ。ぼぼぼっ、ぽぽっ！」
「この家に入るの！空き家だし、荒らしても怒られないの……。」
「怒られはするだろ。」
カズの的外れなツッコミを無視し、メリーさんは僕達を空き家に押し込んだ。不規則な声は空き家の近くから聞こえ続けている。メリーさんは斜め掛けにしていた小さな白いポシェットからガラケーを取り出すと、僕達から見えないように手で隠しながらボタンを入力し始めた。
「怪異は怪異でも、電話番号という個人情報を易々と晒すわけにはいかないの……。電話相談員として、当然の礼儀なの。」
その位置付けで良いのかメリーさん。怪異としてのプライドは何処へ。しかし怪異なりに、色々と拘りがあるんだな。
「非通知にするのを忘れないのも、メリーさんの鉄則……。ここからはお仕事の時間、なの。作戦通り、二人は待機なの。」
ボタンを押すと、メリーさんはふっと消えた。僕らは顔を見合わせると、力尽きてその場にしゃがみ込んだ。
続く
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←わたし、メリーさん。協力者も揃ったし、作戦開始なの……。
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AYA - 初めまして。私も怖い都市伝説の中ではメリーさんが一番好きです。このメリーさん、優しくてほっこりしてきゅんしますね。話もとても面白いです。無理がない範囲で更新頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月2日 18時) (
レス) id: d783a40920 (このIDを非表示/違反報告)
麦カケ(プロフ) - 初めまして、こんばんは。メリーさんは怖いイメージですがこちらの作品のメリーさんは優しくてほっこりしました。お話とても面白いです！作者様のペース、無理がない範囲で更新等頑張ってください！ (2021年2月2日 22時) (レス) id: ea0439ca7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍沢 | 作成日時：2020年12月30日 18時
