わたし、メリーさん。協力者も揃ったし、作戦開始なの……。 ページ17
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あるまじろに入ってすぐ、僕たちはメリーさんに連れられ、店の奥に連れて行かれた。
「……今回は協力者もいるの。“彼”は有能だから、もし怪異にバレたとしても100パーセント安全なの。」
「協力者?まさか、その人も……。」
その人も、怪異なの?
そう聞こうとした時、ちょうどスタッフルームに着き、メリーさんがドアノブに手を掛けた。
「会えば分かるの……。」
そこに居たのは、ようやく労働から解放されたらしいあっきーと、背広姿の見知らぬ老紳士だった。
「……遅かったな。」
ぼそりと呟くあっきー。隣にいた“彼”は僕たちが来たのを目にすると立ち上がり、胸に手を当て優雅に一礼した。
「お初にお目にかかります。マスター……もといメリー様にお仕えしている、“繧サ繝舌せ繝√Ε繝ウ”と申します。どうぞ気軽に“繧サ繝舌せ”とお呼び下さい。」
目の前で穏やかな笑みを浮かべる、ロマンスグレーの老紳士。しかし彼もまた、やはり人間でないのだ。
「お疲れ様なの、店長。……ヒロたちを困らせちゃいけないの。」
「ふふ、これは失礼。私はセバスチャンと申します。セバス、もしくは店長とお呼び下さい。」
「よろしくお願いします、セバスさん。」
「よろしくお願いします。」
セバスさんは相変わらず人当たりの良い笑みを浮かべているが、感情が全く読み取れない。メリーさんも基本的に無表情だけど。
改めて彼が“怪異”だと実感したところで、メリーさんが切り出した。
「……それじゃあまず、これに着替えるの。」
そう言ってメリーさんに渡された紙袋の中には、あっきーの私服が入っていた。
「本当に、こんなんでうまくいくのかよ……?」
「八尺様の目をごまかすには、必要なことなの……。」
不安げなあっきーと対照的に、メリーさんは真剣な顔でそう言ったのだった。
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「……では、作戦開始ですね。ご存じとは思いますが、この店を出れば結界の効果は無くなります。私から離れすぎないように注意して下さいね。」
僕たち二人の返事を聞き、注意深く外を確認してから彼は外に出た。
あるまじろから一歩外に出た途端、僕は強烈な違和感を感じた。まるで何かに見張られているような。
「こちらです。……少し急ぎましょうか。」
穏やかな笑みを浮かべたままのセバスさんもやはり何か感じたらしく、真剣な目でそう言った。
わたし、メリーさん。お仕事開始、なの……。→←わたし、メリーさん。いま、ヒロとカズを待ってるの……。
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AYA - 初めまして。私も怖い都市伝説の中ではメリーさんが一番好きです。このメリーさん、優しくてほっこりしてきゅんしますね。話もとても面白いです。無理がない範囲で更新頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: d783a40920 (このIDを非表示/違反報告)
麦カケ(プロフ) - 初めまして、こんばんは。メリーさんは怖いイメージですがこちらの作品のメリーさんは優しくてほっこりしました。お話とても面白いです!作者様のペース、無理がない範囲で更新等頑張ってください! (2021年2月2日 22時) (レス) id: ea0439ca7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍沢 | 作成日時:2020年12月30日 18時