陽だまりの様なイカ様 (ページ6)

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その姿を黙って見つめているうちに首にとんでもない衝撃を受けて一瞬意識が飛びかける、だけど。

『残念ね、死ななくて』

「そ、んな…馬鹿な！」

『さよなら』

振り下ろした触手で敷き潰して一息ついた。
少しヒリヒリする喉を撫でてから会場に目をやれば、二人の男を残して誰も居なくなっていた。

『……貴方達は逃げないの？』

カ「逃げる必要が無い」

『そう。…なら私はこれで』

モ「おいおいおい！行かせるわけないだろう！？ちょうど欲しかった奴がタダで手に入るってんだからなぁ」

『私はもう売り物じゃない、貴方達に買われる筋合いは無いわ』

静まりかけていた怒りがまた湧いて来た頃、村にいた時に新聞で嫌という程見た顔の男が立ち上がって腕を組んでこちらを見据えている。

カ「今ここで逃げられたとして、起こした惨状は消えない。
俺達だけでなく、海軍からも追われることになるぞ」

『！…それは』

カ「大人しく着いてくれば手荒な事はしない」

『もし、断れば？』

カ「実力行使で連れていかせてもらう」

そう告げて男はどこからか取り出した小さなお菓子を指で弾く。
その横のピエロ顔もまた悪い顔をして何故か本を構えているし、きっと逃げられない。

それでも、それでも私は。

『海賊の言いなりになんてなるもんですか』

カ「…そうか、なら仕方ねぇ」

モ「能力初心者がオレ達に叶うと思うなよォ！？」

飛んできたお菓子を自身の腕と２本の触手で払いながら、残りの触手を男達に伸ばす。
しかし私の動きなど分かりきっているかのように大男は簡単に避け、ピエロは本で受け流す。

『！違う、吸い込んでるの…！？』

モ「俺ァブクブクの実の書籍人間！
本の中で大人しくしてなイカ女ァ！！」

高笑いを耳にして、私が吸い込まれた本はパタリと閉じた。
どうして私ばかりこんな目にあうのよ。