アクアマリン ページ22
この波が引いたら見えるのかな
忘れかけていた世界の色
ケンカした泡の粒 弾けて浮かんでいく
深海のメロディ鳴らしたなら
君の声と重ね合わせて
季節を追い越して 迎えに来たんだよ
瓶の底には空の色
透明な未来をキャンバスに
手放したコンパスが波間に運ばれて
キラキラ光ったら待ち合わせの合図で
君の淡い色の裾を揺らした風
消えないように抱きしめてみよう
声を響かせあの日と同じような
アクアマリンなら君も気づけるかな
「待たせてごめん」 今年もこの場所で
太陽と泳いだ海の向こう
地平より遠くの世界の人
手に取った薄紅をまた君に渡そう
進む秒針 見ないふり
砂を掬っては崩してさ
そうやっていつまでも子どもでいられたら
キラキラ光ってる街をふたり眺めて
「さよなら」なんてしたくはなかったのに
またねと笑う君がいたんだ
冷たい海で言葉は揺蕩うだけ
たった一言が君に届かなくて
聴こえやしない歌を歌っている
キラキラ光ったら夢が終わる合図だ
君の長い髪が頬を隠していた
消えないようにもう一度だけ
声を響かせあの日と同じような
アクアマリンなら君も気づけるかな
「待たせてごめん」 伝えられるように
ここにいるよ。青い空の下で
***
梅雨入り直後だけど夏っぽい詞が出来てしまいました。でも夏という単語は使いませんでした。
海になった男の子と、幼馴染(?)の女の子のおなはし。
最初から男の子は“居ない”存在です。とある夏の日に、水難事故で“居なく”なってしまいました。
なので誰にも見えないし、誰にも聞こえません。
毎年夏が来ると、女の子は男の子に会いに来ます。
いくら男の子が語りかけても女の子は気づかないし、女の子の言葉にも返ってくる声はありません。
それでも、ふたりは毎年毎年、夏を共に過ごします。
帰る際に、女の子は必ず「またね」と言い残して行きます。
本当はもう、さよならをしなくちゃいけない。
だけど、出来ない。
あの日「また明日、あそぼう」と僕は言ってしまったから。
君と、約束をしたから。
だから、せめて伝えさせて。一度で良いんだ。
“また明日”の約束を守って毎年ここを訪れてくれる君に。
「待たせてごめん。ごめんね、さようなら」って。
……解説を書いたら一気にダサくなった気がする。
発端は、献花に用いられる白いカーネーションが海の波とちょっと似てるなーと思ったから。
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碧 華奈 - アイカをお借りします (2022年4月6日 17時) (レス) @page30 id: e67e995d1b (このIDを非表示/違反報告)
日向 すず - 「水彩マリオネット」と「飛翔」を小説でお借りしても……? (2021年12月10日 16時) (レス) id: cd0b4d89fe (このIDを非表示/違反報告)
歌鈴(プロフ) - 敗北の輪廻君さん» お返事が遅くなり申し訳ありません。閲覧とコメントありがとうございます、励みになります! (2020年6月15日 4時) (レス) id: f182f86c86 (このIDを非表示/違反報告)
敗北の輪廻君 - すっすごい………自分よりすごい………すごい←語彙力無 (2020年6月9日 17時) (レス) id: 358ce77f3c (このIDを非表示/違反報告)
歌鈴(プロフ) - 絢瀬魅歌さん» こちらこそありがとうございました!ドキドキハラハラしながら書き上げましたが、そう言って頂けるととても嬉しいです! (2018年10月4日 23時) (レス) id: 4513af9f93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:歌鈴 | 作成日時:2017年10月3日 11時