～君へ～ Dear.J - From.N (ページ3)

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分からないページ3

「あれから、どれぐらいたったんだい？」
話しかけても、返事はない。

あたりまえだ。
だって僕は死んでいるんだから。

意識が戻って、といったってもう死んでいるのだが、もう１０分ぐらいたっただろうか。

きっと僕は幽霊になったのだろう。
だが、未だに幽霊というものが実在している、というのが信じきれない。

･･･ファンタジーやメルヘンじゃないのに。

はたしてなぜ僕は幽霊になってしまったんだろうか？
少し前にベッドを下りた僕は、病室の中を歩きながら考えた。
彼の言葉を思い出す限り、僕は承太郎に何か言うべきことがあった。
しかしそれがいったいどんな内容だったのか、まったく思い出せないのだ。

思考回路が絡まり、どうすることもできず自分の手を見つめる。
地面には立っているのに、僕の手はベッドや機械には触れることが出来なかった。
物に触れられるか触れられないかの基準が分からないうえ、これじゃあ漫画の幽霊の設定と全く同じだ。

この身体にまだ慣れられていない。
分からないことだらけだ。

「ねぇ承太郎、僕、何でここに居るんだろうね･･･」
返事はない。

僕はさっきから座ったままの承太郎の方を見た。
もう涙は枯れはてたのか、うつろな目でベッドを見つめている。

花京院は少し目を細め、無言で顔をそらした。