95話 撃退 ページ49
「……炎ハ魂ノ息吹……」
「グアァァ……」
徐々に降下してくる鬼。その鬼の体を受け止める形で、私も似たような態勢をとる。
「黒煙ハ魂ノ解放……灰ハ灰トシテ……其ノ魂ヲっ……!」
両手を鬼の胸に向け重ねる。
「炎炎ノ炎ニ帰セ……(居合 手刀 弐の型……爆炎!!)」
ボゴォッと炎が破裂する音が聞こえ、鬼の体が胸を中心に崩れていく。
「……ラートム」
月明かりに照らされて、真っ赤な炎は綺麗な光に変わっていった。
……鬼殺も、焔ビトの鎮魂も……一件落着かな。
両足に放出していた炎も弱くなってきた。早く地上に戻らないと落下死してしまう。鬼の亡骸に手を合わせてからゆっくりと地面へ降りた。
足が地面についた途端、私の体は力が抜けたように倒れた。立ち上がることもできず、息もしづらい。手足が少し震えて、頭が痛くて……もう何も考えられない。
……発火限界、か。
そう思うと同時に私の意識は薄れていった。遠くの方から聞こえる足音と「おい!」と呼び起こされる感覚を最後に、私の視界は真っ暗になった。
***
『お兄ちゃん! 見てみて! 焜炉から竹刀奪ってきた!』
『A……人の物を取ったらダメだろう』
『えー…だってさぁ、紅兄とばっかり遊んでてつまんないもん』
『紅は遊んでるんじゃねぇーよ。稽古つけてもらってんだ』
『稽古ぉ? 私にもつけやがれってんだ!』
『Aに? そいつはまだ早ぇな』
『何で! 紅兄と5つしか違わないんだぞ! 紅兄ができるなら私にもできる!!』
『馬鹿。餓鬼は遊んでりゃいいんだよ。ほら、紅が呼んでるぞ』
『あー! 紅兄!!』
『A……竹刀返せ』
平穏そのものだった。
焔ビトも何回か発生して火事になることもあったけど。それでも、自警団の火消しだけで解決できるくらいのこと。
……被害が酷くなって、焔ビトの発生も増えたのは“あの事件”があってからだ。
『……お兄ちゃん! 紅兄が稽古つけてくれってさ。私もやりたいのにさー』
そう言って家の中に入ると焦げ臭い匂いが漂っていたんだ。お兄ちゃんがいつもいる居間の方から。
『お兄ちゃん…? いるんでしょ? 返事してよ―――』
匂いが強くなったことにおかしいなと思いながらも、居間の襖を開けた。そこにいたのはお兄ちゃんだけど、いつもと違った。
『A……』
『おに、い……ちゃん……?』
――――体の半分が炎に包まれていたの。
・
146人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - 夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時