94話 力を振り絞れ ページ48
3人が走り去っていくのを確認した私は、くるりと向きを変え、目の前で「アア゛ァァァ!!」と叫び続ける鬼と対峙する。
……今の私では、あの鬼の火力以上に力を出せない。弾くか利用するかの二択。延長戦に持っていくのも好ましくないな。
「……人間嫌いの鬼が、人間から力をもらうなんてね」
「グア゛ア゛ア゛ァァァァ……!!」
「……何……? 違うって言ってんの?」
炎を放って暴れまわる鬼。その姿を見ているだけで奴の顔がチラつく。
『ククッ…もう手遅れだよ……』
そうやって笑っているんだろう。不甲斐ない私のせいで、町が火に囲まれ、鬼が大暴れしている今の現状を見て。
ビュンビュンッと飛んでくる巨大な火の塊。火を使った攻撃しかしてこないところを見ると、鬼特有の血鬼術は考えなくてよさそうだ。それに、私が燃やしても炭化しなかった鬼の体が、火を放つたびにボロボロと崩れ落ちている。
「……その身を焦がしてまで、力が欲しかったの?」
「グア゛ァァァ……!!」
「……でも、ここで暴れてもらっちゃ困る」
この鬼がいるあたりから炎が広がっている。崩れ落ちた家屋に、逃げ惑う人々。鬼殺隊の所縁がある町とはいえ、避難誘導に耳を傾ている余裕すらないはずだ。
きっとみんな、自分が助かるために必死で逃げている。そんな中、鬼の火力と私の残りの火力がぶつかり合えば、大きな爆発は避けられない。
……伝導者の奴との戦いで消耗していた体力も、少しだけ戻ってきた。
……発火がどれくらい持つかは分からないけど、まだいけるはず。
「鬼さん……ちょっと付き合ってもらうね」
そう言いながら、私はその辺に落ちていた木の板を手に取り、鬼の腹にぶつけて勢いよく飛び上がった。この方法は、以前浅草が襲われたときに紅兄がやっていたもの。
地上が駄目なら……空しかないからね。
ゴォォォと炎を放ち鬼と共に加速する。飛んでいた時に気づいたけれど、この町はそれほど大きくはない。浅草のように月に近づくほど高く昇らなくてもいいはずだ。
下の様子を見ながら、被害が最小限になりそうなところまで一気に加速する。
「……この辺でいいかな」
「グ、グア゛ァァ……!」
「時間がないから……一発で決めさせてもらうよっ!」
木の板を鬼ごと押し出し、自身の真上へと飛ばした。
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☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - 夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時