90話 揺れ動くな ページ44
「あれー? もう終わり??」
「……っ…!」
どうしてこいつが……何で、そんなことをっ!
頭の中がその疑問で埋め尽くされる。敵に隙を与えてしまうほど、私は動揺していた。その様子を見た男は、「じゃあ……反撃開始ってことで」なんて言って私の腹を蹴っ飛ばした。
「っぐはぁ……!」
「おー…結構飛ぶねー」
内臓が抉り出されそうなほど強烈な蹴り。耐えきれずはずもなく、私は重力に従うまま飛んでいく。大きな大木に背中が当たり激痛が走る。
「ぐあぁぁ……!」
「痛かった? ごめんねー……これくらい避けれると思ったからさぁ」
蹴り一発。ただのそれだけで、私の体力は消耗していた。
息が上がり、口から血が垂れる。むせ返りそうなほど苦しい。背骨に激痛が走ったおかげで思うように体が動かない。
立ち上がろうにも力が入らず、その場でうずくまるだけ。そんな状態の私を見て薄ら笑いを浮かべてこちらへ向かってくる男。
「…っまけ、るもん……か……!」
「おおっ、まだ戦う気なの? 君も案外しぶといねー」
口調は優しいのに、止まない攻撃。うずくまる私の腹を何度も、何度も蹴ってくる。蹴り終わったかと思えば、今度は上から踏みつぶしてくる。その強烈な力に私の腕も悲鳴を上げた。
「あがっ……!」
「あんまり女の子をいじめたくないんだけどね。アイツみたいに殺されたくないし」
「…ぐほっ…(アイツ……?)」
誰のことだ?と考える暇もないほど、男は攻撃を続けた。
対人で負けることがなかったわけではないけれど、こんなに一方的にやられるのは初めてだ。やり返す力も出せない。ぼやけてくる視界に耐え、必死に目をつむらないようにすることだけで精一杯だ。
意識を手放しそうになるのをグッと堪え、隙ができた時に攻撃ができるよう頭で考える。
私が、炎を使って人と戦えないことをこいつは分かってる。その原因となった出来事も、どこから嗅ぎつけたのか知っているみたい。
こんな状態で、疲弊した状態で発火するのは極めて危険だ。ここで命を落とすなんて、死んでしまうなんて……彼らになんて言ったらいいの。
「っ…ぐ、…はぁ……!」
「ほぉ……(…意識が…まだあるのか)」
まだ、まだ……倒れるわけにはいかない。
何のために、私はここに来たんだ。
―――覚悟は決めてきたんでしょ。
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☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - 夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時