【鬼滅の刃】消させないよ、誰にも その2【炎炎ノ消防隊】

71話　血鬼術って厄介だね ページ25

Aside



「はぁ…っはぁ……！」

「へぇー…君、僕の血鬼術効かないの？」



そういってくる目の前の鬼。さっきから殴られているわけでもないのに、体力が無駄に消耗していく。その理由は分かってる。こいつが使ってくる妙な術……それが原因。



「血鬼術って…疲れるなぁっ……はぁ……」

「これだけ夢を見させようとしているのに、息切れだけなんてすごいなぁ。もう少し素直になったら？ そんなに気張ってたら体持たないよー」

「……うるっさいね。夢なんて覚めたら終わりなんだ。幸せだろうと不幸だろうと、目覚めれば終わりなの。私はそんな安っぽい現実なんていらないよ」



現実が非情で無関心なことを私は知っている。絶望していようが、苦しみもがいていようが、時はただ流れていく。人間の気持ちなんて、神様からしたらただの退屈しのぎにすぎないんだろうね。

それでも、前を向かないといけない。どんなに辛いことがあっても、逃げるばかりじゃ意味がない。夢の中が幸せだからと言って、それも永遠に続くわけじゃないしね。



「……あんたの夢ってさ、ただ幸せになるようにさせるものじゃないでしょ？ その胡散臭い笑顔がそういってるよ。あー楽しいって」

「…あーあ。バレちゃったかぁ。そうだよ、僕は不幸を見るのが好きなの」

「悪趣味だな」



幸せがぶち壊されたときの絶望に満ちた顔を見るのが好きだという鬼。その顔は、人間がどう思っていようがどうでもいいように見える。自分の欲望が満たされればそれでいいんだろう。

―――本当、なんか似てるんだよね。



「……私の大嫌いな奴らにそっくりだ」

「それは誉め言葉なのかな？」



人が怯えているところが好き、苦しんでいても何も感じない。

その人が大切にしてきたものも、信じてきたものも、そのすべてを簡単に奪っていく。


だから―――。

「やめてください」と、「助けてください」と悲痛な顔で訴える姿を見て笑っていられるんだ。自分の野望のために多くの犠牲を出しても平気でいられるんだ。



「ヘラヘラ笑いやがって……人の気もしらないでさ。本当に嫌いだわ」

「僕も君みたいな頑固者は嫌いだなぁ」







・

72話　攻撃開始→←70話　仲間の元へ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す