検索窓
今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:122,815 hit

66話 車掌さんの思い ページ20

車掌さんから話を聞けば、“鬼”と名乗る謎の生物から「良い夢を見させてやるから」と乗客全員を眠らせるよう頼まれたらしい。先頭車両にいる数名はその鬼の命に従って動いているそうだ。



「……いけないと分かっています。けれどっ……!」

「……その眠りから一生覚めることができなくても?」

「え……?」

「相手は人間じゃない。“夢を見せる”とは言っても、“生かす”とは言ってない。寝ている内にここにいる全員を殺す可能性だってある」

「そんな……!!」

「その片棒を、あなたは背負うの?」



背負わされた人を知っている。何も知らないがために、危険なことに悪いことに手を染められそうになった人を。


『ただ好きだっただけなのになぁ』


第1で起きた話を聞いたとき、環が悲しそうにそう言っていたのを思い出す。優しくて純粋な人ほど、信じ込みやすいから巻き込まれる。大好きだった人に裏切られてしまう。


きっとこの車掌さんも、その鬼に弱みを握られたんだろう。企みに気づかせないよう上手く利用するなんて、許されないことだ。



「私は……私はただ……夢であっても、会えるのなら会いたいだけなんです―――亡くなった妻と娘にっ!」

「……そのために犠牲者を増やしてもいいの?」

「……そうするしか、ない。それにこれ以上……苦しむのは無理だ!」



たくさん、たくさん思い悩んだ顔をしている。この列車にずっと乗り続けていたのかもしれない。鬼の言いなりになることでしか助かる方法も、自分を守る方法もなかったのだろう。



「……車掌さん」

「…俺には…もう、何もできない! 列車を止めることも…乗客を助けることもできないんだ!!」

「……もう、大丈夫ですよ」

「えっ……?」



車掌さんの後頭部をチョップし気絶させた。これ以上、彼に背負わせるわけにはいかない。もう十分すぎるほど苦しんだ。いい夢は見られなくても、少しは気を休められるはず。



「手荒な真似して、ごめんなさい」



でも、後は私に任せて。

きっとここにいる人達も、あなたも、全員助け出してみせるから。






鬼がいると言われた先頭車両へと足を急がせた。









67話 目を覚まして→←65話 異様な雰囲気



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (76 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
146人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) -  夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。