66話 車掌さんの思い ページ20
車掌さんから話を聞けば、“鬼”と名乗る謎の生物から「良い夢を見させてやるから」と乗客全員を眠らせるよう頼まれたらしい。先頭車両にいる数名はその鬼の命に従って動いているそうだ。
「……いけないと分かっています。けれどっ……!」
「……その眠りから一生覚めることができなくても?」
「え……?」
「相手は人間じゃない。“夢を見せる”とは言っても、“生かす”とは言ってない。寝ている内にここにいる全員を殺す可能性だってある」
「そんな……!!」
「その片棒を、あなたは背負うの?」
背負わされた人を知っている。何も知らないがために、危険なことに悪いことに手を染められそうになった人を。
『ただ好きだっただけなのになぁ』
第1で起きた話を聞いたとき、環が悲しそうにそう言っていたのを思い出す。優しくて純粋な人ほど、信じ込みやすいから巻き込まれる。大好きだった人に裏切られてしまう。
きっとこの車掌さんも、その鬼に弱みを握られたんだろう。企みに気づかせないよう上手く利用するなんて、許されないことだ。
「私は……私はただ……夢であっても、会えるのなら会いたいだけなんです―――亡くなった妻と娘にっ!」
「……そのために犠牲者を増やしてもいいの?」
「……そうするしか、ない。それにこれ以上……苦しむのは無理だ!」
たくさん、たくさん思い悩んだ顔をしている。この列車にずっと乗り続けていたのかもしれない。鬼の言いなりになることでしか助かる方法も、自分を守る方法もなかったのだろう。
「……車掌さん」
「…俺には…もう、何もできない! 列車を止めることも…乗客を助けることもできないんだ!!」
「……もう、大丈夫ですよ」
「えっ……?」
車掌さんの後頭部をチョップし気絶させた。これ以上、彼に背負わせるわけにはいかない。もう十分すぎるほど苦しんだ。いい夢は見られなくても、少しは気を休められるはず。
「手荒な真似して、ごめんなさい」
でも、後は私に任せて。
きっとここにいる人達も、あなたも、全員助け出してみせるから。
鬼がいると言われた先頭車両へと足を急がせた。
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☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - 夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時