58話 思い出す感覚 ページ12
Aside
「(水の呼吸 拾壱の型 凪)」
冨岡さんはすかさず鬼の間合いに入り、私が打った槍の炎を掻き消して鬼の頸を斬った。
剣術の型なのかな…?
初めて見たけど、すごくきれい。
周りにまだ残る技の余韻に浸っていると、「おい」と冨岡さんに呼ばれた。
「お前は痛くないのか」
「……怪我の心配してくれてるんですか? どこも痛くないですよ」
「……そうか」
優しいところあるじゃん。
冨岡さんが止めを刺した鬼は、顔と胴体が分かれているにもかかわらず、こちらを睨みつけていた。そして、灰となって消えながら恨みのこもった言葉をつらつら並べていた。
「くっそ…こんな餓鬼に……やられるなんて……!」
「今まで人を騙していた罰だよ。これくらいで済んだだけでも…ありがたいと思え」
「覚えてろ……呪ってやる……絶対に許さない……!」
怨念を抱えたまま死ぬなんて、どんな悪霊になるのやら。
言い伝えられてきた祠の正体は鬼で、人々を脅かす存在は消えた。
でも、この鬼に命を奪われてしまった人達は戻ってこない。
……なんか思い出すな、焔ビトを鎮魂するときの感覚を。
「……俺はお館様に報告する。お前は帰れ」
「……はーい」
私に帰るよう言った冨岡さんは、来た時と同じようにスタスタと歩いて行った。
鬼を退治したということは日も暮れているわけで、外はだいぶ真っ暗だ。
幸い人目がないところだったから、空を飛んで帰ることにした。
*
蝶屋敷到着。
相当遅くなったし、みんなはもう寝てる頃かな…なんて思いながら蝶屋敷の屋根へ降り立った。庭へ着地すると同時に「うわっ!?」という声が聞こえ、振り返った。
「……炭治郎?」
「Aさん!? どこから降りてきてるんですか!?」
「え、屋根だけど……」
「……屋根を飛び越えてきたんですか?」
「……空を飛んできたよ?」
私の一言に放心状態になりかける炭治郎。籠(タオルとか入ってる)を手に持っていることから入浴しに行くところだったことが分かる。まだ髪は濡れてないから入る前だよね。
「炭治郎、お風呂入ってきたら? もう遅いでしょ」
「……ほぇ………」
「……私のせいか?」
ボケ―っとこちら見ているだけで、私の声に反応してくれない。
まあ、それが普通の反応だよね。
人が空を飛ぶなんて思わないだろうし。
「なんかごめんね、炭治郎」
・
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☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - 夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時