57話 彼女の能力 ページ11
冨岡side
俺が鬼の気配を感じ取るまで、菅野原は警戒していなかった。
それなのに―――。
『冨岡さん、下がって!』
そう言って鬼が現れることを知らせた。一歩遅れていたら、鬼の間合いに入るどころか、いいように操られていたかもしれない。
それくらい彼女の判断力と瞬発力は鋭かった。
俺が鬼と交戦している間も、応戦することなく、的確に鬼の特徴や弱点を見極めていた。他の隊士と違い、闇雲に攻撃を仕掛けない。相手の力量を見て判断しているようにも思えた。
そんな彼女が鬼の言葉をきっかけに、身体全体から燃え上がるような炎を放出していた。当然俺も驚いたが、そのことに一番焦っていたのは鬼だった。
「な、なんだ……火が人から…!?」
「…あんたの体が何でそんな不透明なのか知らないけど、物理攻撃が効くなら話は早い」
「…っどけ!!」
俺の攻撃を押さえていた鬼は、彼女から距離をとるため跳ねのけた。その僅かな時間差が隙を生んだらしく、彼女の攻撃が鬼に命中する。バシュバシュッと彼女が放った火の槍が鬼の体に突き刺さる。
「ぐああ……」
「(やっぱり……)…効果ありね」
ニッと笑った彼女は次の一手を構えていた。それにハッとし、俺も技の構えをする。
「(水の呼吸…)……っ!?」
「君は連続攻撃、耐えられる?」
俺が技を出す間もなく、彼女が作ったであろう火の玉が鬼へと勢いよく飛んでいく。バンバンバンッと小さな爆発を起こし、鬼も防御が間に合わずまともに喰らってしまう。灰色の煙が立つ中、彼女は俺に耳打ちをした。
「冨岡さん…私が時間を稼ぎます。隙ができたら一気に斬り込んでください」
「……承知した」
呼吸法という技があり、通常の剣技より効果があるとはいえ、鬼の方が動きは速い。その鬼が人を何人も食べ、血鬼術も高度だった場合、“攻撃を食らわない”なんてことは無理だ。
避けるか、弾くか……鬼の攻撃をそれなりに受けてしまうのが普通。しかし彼女は、鬼の速さを上回り、鬼が行動を起こす前に叩きのめしている。
それがどういうことか―――。
「そろそろ回復してきた?」
「っく…なめやがって……血鬼術―――っ!?」
「元気な鬼だね。そのままじっとしてなよ」
「痛いから」と彼女が一言呟いた途端、バシュバシュッと火の槍が鬼の両肩に突き刺さる。態勢を崩した鬼を見て「今です!!」と俺に合図を送った。
「(水の呼吸 拾壱の型 凪)」
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☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - 夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時