プライベートを隠すのは〔赤〕*

06. ページ6

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A「んー…… 一人旅…… というか、家出……？というか……」








恐る恐る彼女に質問してみたら、返ってきたのはまさかの答えやった。








「家出……？だからそんな大荷物？」


A「はい、」


「……親は？心配してへんの？」


A「あー…… 親はいないから大丈夫です、」


「ええ？？？」








親がおらんのに家出ってどういうことやねん。ますます意味が分からへん……








そう思ってたら、さっきまでちょっと照れ臭そうに笑ってた顔が、急に寂しそうな泣きそうな、




そんな表情になって彼女は俺に頭を下げた。








A「あの…… しばらくだけでいいので、……ここにいさせていただけませんか？」


「えっ…… ここに？」


A「はい……」


「いや、……でも、」








彼女が言うてる家出の理由だってよう分からんのに、このまま置いておくのはさすがに気が引ける。




だって、誘拐みたいな扱いされたらやばいやん。








俺だってまだデビューすること諦めてへんし、




いくら可愛い女性といえど、変なことには巻き込まれたくはない。








A「……やっぱり、無理ですよね。ごめんなさい、」


「いや、その…… 無理っていうか、」


A「大丈夫です。今日助けてもらえただけでも嬉しかったので。……ありがとうございました」








そう言いながら笑う彼女の目には薄っすら涙が溜まってて、




そのまま近くにあった荷物をまとめて立ち上がろうとするから思わず引き留めてしまった。








「待って……！」








白くて細い腕を引けば、簡単に倒れてしまいそうな華奢な身体。




やっぱり俺には…… そこまで見捨てることが出来んかった。








「理由はようわからんけど、……せめて体調治るまでやったら、おっていいですよ」








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この時はまだ何も知らんかったんや。




彼女が抱えてる、大きな大きな爆弾みたいなもんを。








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