17. ページ17
.
自分で立ち上がろうとする彼女を無理やりお姫様抱っこして、ソファに座らせた。
出会った時よりもさらに軽くなった気がして、その細い身体を感じるたびに胸が苦しくなる。
.
「とりあえずこれ、あったかいお茶、」
A「ありがとう」
「薬は？何も飲まんでええの？」
A「うん、発作みたいなもんだから…… 目が覚めたら大丈夫」
目が覚めたら……
その言葉がめちゃくちゃ引っかかる。
それはいつか、目が覚めへん日が来るってことなんか？
A「……それより重岡さん、なんでいるの？仕事じゃないの？」
「ああ…… 雑誌のアンケート忘れてさ、取りに来てん」
A「えっ、じゃあ早く行かなきゃ仕事」
「ぉん、せやねんけど……」
そう言いながら時計を見たら、もうあと30分ぐらいしかなかった。
こっから電車乗って仕事戻ってちょうどぐらい。
けど、このまま彼女を置いていくのもだいぶ気が引ける。
どうせまだ干せてない洗濯物干すんやろうし、いつも通りご飯も作ってくれんねやろうなって。
A「なに？心配してる？」
「ったり前やろ！倒れとったのに、置いていけるかよ……」
A「……大丈夫だから、本当に」
そう笑う彼女の顔は相変わらず青白くて、もちろんその言葉に信憑性なんてなかった。
けど俺だって仕事や。
メンバーにだって、彼女のこと黙ってるんやから話すわけにもいかへん。
「……分かった。ほんなら、今日はご飯作らんでええ。俺買ってくるから」
「洗濯物もどうせ洗い直すやろ？それも俺がやるから」
「……頼む、大人しく寝とってくれ」
そのまま無意識に彼女の身体を抱きしめてて、
そんな俺の身体を抱き返すみたいに、彼女の腕がそっと背中に回ってくる。
A「分かった。大人しくしてるから…… 重岡さんも、お仕事頑張ってきて」
「……大毅でええ」
A「え？」
「重岡さんとか、よそよそしくせんでええから。……大毅って呼んで」
A「……ん、大毅くん、いってらっしゃい」
「ぉん、……行ってきます、……Aちゃん」
.
これ以上好きになったら、待ってるのは苦しい未来や。
そんなこと、アホな俺でもわかる。
……けどもう抑えられへん。この気持ちは。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 916人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みーぽん(プロフ) - News9864915さん» ありがとうございます！(＞＜) (2020年3月8日 16時) (
レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
News9864915(プロフ) - 最後泣いちゃいました泣 (2020年3月8日 16時) (レス) id: 7b9d7e55b8 (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - 舞さん» はじめまして。コメントありがとうございます！発想を褒めてくださってすごく嬉しいです！最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。 (2020年2月1日 11時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - なつみさん» なつみさん！泣いてくださってありがとうございます… 次回作も頑張りますので、またよろしくお願いします！ (2020年2月1日 11時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - 雛里さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます……！感動していただけて安心(?)しました。最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。 (2020年2月1日 11時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：望穂
| 作成日時：2020年1月24日 20時
