あの私回復キャラじゃないんです【MHA】 (ページ5)

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王子キャラページ5

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───────────…王子様みたい。

ふと、そんな言葉が零れた
当の本人はその言葉が聞こえていない様で。

「A！！帰って来い！！早くしろ！」

目の前で騒ぎ立てる父親から私を守ってくれている。それも腕の中に収めて。父の個性を警戒しているのだろうか

「耳傾けんな。あいつの言ってる事滅茶苦茶だ」

嫌そうな顔で私を抱きしめる力に手が入る轟さん。抱き締められている方は助けられた方と違って少し暖かくて。こんな状況なのに眠気に誘われた。

「何してる！お前なら抜け出せるだろう！！」

父は怒り狂っているのかその手から色々な液体が出て来ている。けどそんなのをNo.2ヒーローエンデヴァーの息子に向けてみろ
間違いなく父は牢屋行き。それも分かっているのか下手に動ことはしない

「A！！！！お前は俺のモノだろう！！」

……嗚呼、騒ぎ立てる父が煩わしい

「出来損ないのお前を育ててやったのは誰だ！」

煩い。私は出来損ないなんかじゃない

「没個性の癖に生意気だろ！！！！」

違う、姉さんと同じ個性を侮辱するな

「そんなんだから姉は死んだんだ！！！」

ﾋｭｯと喉の奥が締まった。
上手く呼吸が出来ない
世界がモノクロに染まる

あ、個性が抑えられない
また、暴走す─────────────

「大丈夫だ。A」

その声で一気に正気を取り戻す。
冷たいけれど暖かさの含まれた優しい声。
ダイレクトに伝わる彼の鼓動。
……落ち着いてる。凄い

ゆっくり背中を撫でられて思わず力が抜けた
倒れそうになる私をしっかり支える轟さん

「落ち着け。大丈夫だ。お前は何も悪くねぇ」
「 ───落ち着いて。Aは悪くないわ」

「俺が付いてる。だから安心しろ」
「 ───お姉ちゃんがいるからね。大丈夫」

「俺がお前を守る」
「 ───私がAを守るよ」

涙が、零れた。
轟さんの言葉一つ一つが姉の言葉と重なり複雑に絡み合う。轟さんは未だ父から目を離さない

「何してる！！早く戻ってこい！
俺の個性を返せ！！！！！！俺が使うんだ！」

「 ───── 貴女の個性じゃない！
貴女が使い道を決めるのよ！」

その時、姉さんの声と父親の声が重なった
何時もは制御できない個性もその時だけは何故だか、上手く使える気がしたんだ。