11. 救いの笑顔 ＜ヒロイン side＞ ページ11
まさにそんな時。さしのべられた傘。
突然私の前に現れた彼。大野さん。
名前も何も知らない人。
でもあの時の優しさが本当に嬉しかった。
こんな広い街で。あんなボロボロの私を
気にとめてくれたこと、ありがたかった。
彼にとってはほんの気まぐれな出来事かもしれなかったけど。
ちゃんと。もう一度お礼が言いたかった。
何の変哲もないただのビニール傘だけど。
その時の私には。まるで魔法の杖のように見えたんだ....
そう思ったら。もう立っていた。
大野さんには「雨の日に」なんて言ったけど。
本当は毎日あの時間に、同じ場所に立っていたんだ。
彼にまた会えること、願っていたんだ.....
グラスを口に運ぶ手、少し止めて。
思わずじっと見つめてしまった私に気が付いて。
ちょっぴり目パチクリさせてから。
ちょっぴり困ったように
目じり下げて優しく笑った大野さん。
その瞳がとてもあたたかくて。澄んでいて。
不意に島の凪いだ海を思い出してしまった。
東京にも。こんな人いたんだ。
なんて冷たい街、って。
もう二度と来るもんかって思ったけど。
不思議。
絶望して。ささくれだっていた私の気持ち。
彼のその笑顔に。救われた気がしてたんだ......
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かこ(プロフ) - 杏さん» いつもありがとうございます♪初めて挑戦した智くん作品、気に入っていただけたらいいな...(＾＾）最後までどうぞよろしくです。 (2014年1月14日 14時) (
レス) id: b9db3344e7 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - 新作っ!今回の作品もめっちゃ期待してます＾＾更新、頑張ってくださいね!!! (2014年1月10日 22時) (レス) id: f1b8103735 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かこ
| 作成日時：2014年1月10日 21時
