過去と今と未来と (ページ47)

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意識不明の状態から目を覚ますと向井の家族は泣きながら

生きてほしい、自分を傷つけないで

そう何度も伝えた

向井と１番仲が良い友人は、少しの間帰省していてこの騒動を知らなかったが、事態を把握すると向井に寄り添い、支えた
実は向井はその友人にずっと前から依存していた
どんなに小さな悩みでも相談し、ずっと一緒にいた
何でも話せるそんな仲だった

友人の支えもあってか、元の向井には戻らなかったが
じさつしようとすることはなくなっていて確実に良い方向に進んでいた

しかし、友人に連れられ、気晴らしに散歩していた時また事件が起きてしまった

友人がお手洗いに行ってくると向井に伝えその場を離れた
やっぱり自分も行こうと向井が友人を追いかけると
すぐに見慣れた後ろ姿が見え名前を呼ぼうとした

でもそれよりも前に出たのは
「危ない！！！」
だった

その後、大きな音ともに友人はその場から消えた

離れた所にはねられた友人がいる
慌てて駆け寄ると頭から血を流しており、友人の意識は朦朧としていた

周りが騒がしくなっていき野次馬が多くなってきた
その好奇の視線から友人を守りながら、向井が友人の手を握り名前を呼ぶと

「康二、生きてるだろ？
自分、を傷つけずに、生きてくれ」

ゆっくりと言葉が繋がれた

その言葉の後に事故を起こした車が炎上し、再び大きな音を立てて爆発した
友人が目を閉じてしまい、何度も名前を呼ぶが反応はなかった
救急車で運ばれる前に既に亡くなっていた

向井は大きな音に対して敏感に反応するようになった

そして、みんなが口を揃えて向井に伝えた“生きる”ということ
これに対しても反応するようになった

完全に憔悴してしまった向井は、ベットから起き上がることさえ憂鬱に感じていた
でもこれでは生きているかわからないのでは、？
そんな考えが出てきた
そこからまた、自傷行為を始めるようになった

何年も続けたその証は

今もなお、陰で暗いまま向井を苦しめ続けている