過去と今と未来と (ページ46)

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憔悴した状態が続いていた中、更に向井に追い討ちをかけるように友人達を殺した犯人が分かった
それが分かったのは、友人のお葬式の帰りに家族と歩いており、向井は俯き泣き続けていた時だった

突然、向井達の前に女がやってきた
開口一番

「康二くん！ようやく二人になれたね！
大好き、愛してる！！」

と言った

隣にいた家族は異変に気づき前に立ち、康二を自分たちの後ろに隠した
向井は俯いたまま、顔を上げなかった

女はその流れを見て

「ちょっと、退いてもらえません？
大好きな康二くんが見えないじゃないですか
家族だけは残してあげたんですから大人しく退いてください
退かないんだったら、あの子達と同じようにしますよ？」

淡々と表情を一切変えず、そう話した

そこからはあっという間だった
すぐに警察が来て事情聴取、女は逮捕された

恩師、先輩、友人達全員この女に殺されたらしい

動機は
康二くん、と私だけの世界で邪魔だったから
私の康二くんと一緒にいるのが許せなかったから
康二くんの瞳に私以外が写っていることが許せなかったから、だった

向井は女との面識はなく、一方的に女が街で見かけて好きなったという

この事実を知った向井は自分のせいであることが明確になった、とじさつしようとした

このままだと家族でさえも居なくなってしまうかもしれない
その考えから、関わりを持っている人全員と距離を取るようになった

何回も、何回も人生を終わらせようとした

最初は自分の爪で腕に血が滲むほどの傷を作った
次はカッターで手首に傷をつけ、何回もやった後、深い傷ができ出血の量が多く意識を失くして病院へ
更に取り壊し間近のビルから飛び降り意識不明に
幸いどの時も多少の傷はあれど命は助かっていた