過去と今と未来と (ページ45)

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姿に映る陰陽と明暗橙の雪ページ45

何年も前の橙

向井は明るく振る舞っていた
家族、友人、先生、先輩、誰からも好かれ、愛されていた
少し経つとその姿は見れなくなった

理由は尊敬していた恩師と先輩達が消えてしまったからだった
突然、何の前触れもなく行方不明に

向井の背中をいつも押してくれる恩師
憧れだった先輩、よく気にかけてくれた先輩
色んなことを教えてくれた先生

姿を消してしまった

次第に向井は、当時の面影は一切なく、光を避けるように暗い場所を求めるようになっていた

そんな向井を救ったのは友人達だった

「康二！一緒に行こう！！」
「一緒に遊ぼう！康二！！」

何人もの友人が向井に励ます言葉をかけ、向井に寄り添う日々が続いた
少しずつ向井は陽の暖かい場所を求めるようになった

「みんな、ありがとう、みんなのおかげで前を向けた
これからもよろしく！」

笑顔で友人達に話す向井に

「何急に改まってんの！」
「当たり前じゃん！」
「康二とずっと友達だから安心しろよ」
「こちらこそよろしくな」

笑顔で答える友人達

向井の周りには笑顔が溢れていた

その時間もまた、長くは続かなかった

次々と向井の友人達が亡くなったのだ
全員他殺、犯人は分からなかった
向井の周りで次々に起こる事件に警察は向井を疑った
聞いても向井は答えなかった

あまりにも急すぎる友人達の死を、向井は受け入れられなかったからだった

何回も友人達の名前を呼んだが返事は誰一人返ってこなかった

次は自分が殺されてしまうのかもしれない、なんてことも考えた

前よりももっと暗く、光を嫌うようになった
もう何も求めなかった

自分と関わったからかもしれない
この考えが向井の中にできた

周りの人々はそんなことはない！と話したが
向井にはその言葉は入ってこなかった

日を重ねるごとに、向井は憔悴していき何も話さなくなった