過去と今と未来と (ページ35)

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自分を探す緑の雪ページ35

何年も前の緑

阿部は秀才故、周りからの信頼や期待が多くあった

その結果、阿部の精神は崩壊した

学校へ行けば勉強を教えてと声をかけられ、先生には期待しているぞ、と言われていた
これを阿部はプレッシャーと捉えるのではなく上手く自分のモチベーションに変え次々に良い成績を残していた

ある日阿部は友人と出かけることになった
友人の親戚がペンションを営んでいるらしく
シーズン的に丁度いいから友達を連れておいで、と言われたらしい
そのペンションは山の中にある為、その親戚が車を出してくれるらしい

「近くには川があってそこら辺で遊べるみたい！」
「マジで！？超楽しみ！」

そんな友人達の会話を阿部は参考書を見ながら聞き流していた
まあ、たまにはそんな事もいいか

阿部は自分では上手く取り繕っていたが、実際は友人達の会話についていけない事が多かった
友人達に言ったら見放されるのでは、？
そう考えて上手く話を合わせていたのだ

阿部が両親に友人と出かけてくると伝えた時、両親はとても驚いていた
今まで友人の話さえしてこなかったのに突然そう言ったからである
驚きはしたが、両親はたまにはそうやって息抜きも必要だと出かけることを承諾した

そして当日、朝から友人の親戚の車に乗り目的地へと向かっていた
ペンション向かっている途中、事は起きてしまった

この先急カーブ、スピード落とせ、と看板やカーナビで注意喚起されているのにも関わらず何故か阿部が乗っている車のスピードは変わらなかった

「ねえ、スピード落とさなくて大丈夫なの？」
「大丈夫だよ、この人運転上手いから！」

運転席に聞こえないように友人に耳打ちすると軽く流されてしまった
このままでは確実に事故が起きてしまう、そう思った時にはもう遅く、カーブを曲がりきれなかった車はそのまま崖の下に落ちていった

阿部は頭を強く打ちすぐに意識を飛ばしてしまった