約束したじゃん (ページ3)

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「松本さん、すみません」
スタッフが言うには、どうやら俺個人のショットのデータが壊れたらしい。
そう…俺だけ撮り直しってこと。
「本当に申し訳ありませんっ」
深々と頭をさげるスタッフに笑顔で頷き、準備が出来次第リトライだ。
　
控室に戻るとメンバーは帰ろうとしているところだった。
「潤くん、遅かったね」
身支度を終えたニノがキャップを被りながら入ってきた俺に声をかけてきた。
「ああ、ちょっとトラブって俺だけ撮り直し」
「ええっ」
皆、一斉に声を上げる。
あんたは脱ぎかけた衣装を中途半端にしたまま、きょとんとした顔で俺を見てる。
ぷっ
なんでそんな可愛い顔できんだろ。思わずそんなリーダーに吹き出して、あわてて咳払い。
「ってことだから、今日はダメになった。ごめんね、リーダー」
そして、翔さんに向き直る。
「俺の約束なくなったから、リーダー誘ってあげて」

残念だけど、今回はタイミングが悪かったってことか。
せっかく、俺が元気にしてやろうって思ったのにな。

しょうがないから、その役目、翔さんに譲ってあげるよ。きっと翔さんも
元気ないリーダーを気にしてるんだし。
「松本さん、衣装替えお願いします」
スタッフに呼ばれ、俺はみんなに手をふって控室を後にした。
さあ、ちゃっちゃと済ませて俺も早く帰ろ。

結局、衣装替えしてからもセットの準備に時間がかかって、
撮影が済んだのは深夜だった。
「ふぅ…」
さすがに疲れた。
仕事で遅くなるのはいつものことで、こんな時間でも特に珍しい訳じゃないんだけど…
今日は五人一緒に終わる予定だったのに、ひとり居残りしたからか。
着ていた衣装を脱いでソファの背もたれに掛ける。