約束したじゃん (ページ2)

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廊下から賑やかな声が聞こえてきた。相葉くんの笑い声が響いてくる。
前半組が帰ってきたな。
「おっ待たせぇ～」
勢いよくドアが開いて三人が笑顔で入ってきた。
「次、どうぞ」
翔さんがにこやかにリーダーの傍へやって来る。
そして、おそらくリーダーにしか見せない極上スマイルで
「智くん、撮影終わったらさ、飯食いにいかない？」
と言った…

「え、うん…」

何が「うん」だよ。
俺と行く約束したばっかだろ…でもまあ、しょうがない。翔さんの誘いは断れないよね。
がっかりした顔見られてくなくて、ため息を飲み込んで先に控室を出る。
その時、閉まるドアからリーダーの声が聞こえてきた。
「あのね、翔くん。今夜はマツジュンと約束したから、また今度ね」
リーダーが背中を追いかけて来るのが分かる。
でも、振り返らない…違うか、正しくは振り返れない、だ。
今の俺、絶対、ニヤけてるし。

「目線ください」
カメラマンのリクエストに応えて次々ポーズを決めていく。
毎回思うけどリーダーはすごい。
カンがいい人ってこういう人のこと云うんだって肌で感じる。
独特の空気感でカメラの前に立つんだ。
スタッフの人たちもこの人の雰囲気に呑まれてる。

「松本さん、こっちを見据える感じで。大野さん、視線落として」
リーダーと二人で撮影するのは、ほど良い緊張感があるから結構好きなんだよね。
いつもは癒しオーラ全開なのに、こういう時は何ていうか…色っぽい。

「はい、オッケーです」
スタッフの言葉に、隣で憂い顔してたリーダーの眉尻が下がる。
「ありがとぉございましたぁ。お疲れさま～」
間延びした声であいさつして、俺に視線を移した。
とたんにいつもの空気に戻る。
「今日はこれで終わり～やったな、超早ぇぞ」
スキップでもしそうな軽い足取りで、控え室に戻っていく後姿を眺めてると
こっちも自然と笑顔になってくる。

今夜は何を食べに行こうか。イタリアンのいい店があったっけ、それとも寿司がいいかな。
う～ん、魚料理の方がきっと喜ぶよな。
そんなこと考えてると、後ろからスタッフが追いかけてきた。