白妙の衣は薄紫の花に埋もれて…２東京編 (ページ17)

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「え、ショウさんって子どもいたっけ。
っていうか、いつ結婚したんだよ。俺、聞いてないよ」

「ああ、悪かったよ。俺の奥さん、再婚でね。式を挙げたりするのは嫌だっていうからさ。それにいきなり父親っていうのも…なんか気恥ずかしくって」
「そうなんだ、おめでとう。でも、なんでマサキがショウちゃん呼びなんだ？」

「ああ、それはね。リカちゃんがそう呼ぶからなんだ。毎日教えてくれんの。
今日ねーショウちゃん寝坊してママに怒こられてた。とかぁ、寝相が悪すぎてベッドから落ちた、とかぁ…」

「あーっっもういいです。勘弁してっ」
「で、気分はもう身内って感じ」

真っ赤になって手を振り首を振るショウさんを気にするでもなくマサキは屈託なく笑う。

「なるほどね。そういうことなら、俺はカズ。よろしくねーショウちゃん」

カズもそれに乗っかり、あっという間にいい感じに打ちとけたところで、俺は本日の主役を呼びに行った。

「巫女さんかぁ、直接会って話が出来るなんて光栄だわ」

期待値マックスのショウさんに、事情を知ってるマサキとカズは忍び笑いして事の成り行きを見守っている。

今日のサトシの出で立ちは、細身のパンツにわざとサイズの大きい俺のセーター。カズが面白がって可愛くコーディネートして、伸びた前髪は邪魔だろうと言いながら、故意に可愛くピンで数か所止めたりしたもんだから、もう何処からどう見ても女の子にしか見えない。

サトシはそれを嫌がるでもなく、されるがままに受け入れ、それを見たマサキと俺は顔を見合わせて首を振る。
別に女装したわけじゃないから、化粧だってしてないのに、分かってても男には到底見えないハイクオリティな出来栄えだった。

「サトちゃん、かーわいー」
マサキがぎゅうっとサトシを抱きしめる。

「どうよ。素材がいいっていうのもあるけど、俺、スタイリストの素質あるかも」
得意気なカズにあきれるやら感心するやら…そして騙されるショウさんに若干の罪悪感。

そして、いよいよ主役の登場だ。
リビングの戸口で立ち止ったサトシにマサキが駆け寄り、手を引いてソファまでエスコートする。

それを目で追うショウさんの口はぽかんと開いたままで、明らかにサトシに見蕩れている。
カズがそれを見て笑いをかみ殺して肩を震わせた。