絵本2 (ページ1)

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寝起き～狂せぐ　#診断メーカーページ1

「起きた？」
　ぼんやりとした視界で視点を合わせるのが難しくても、その高い声の持ち主が誰なのかがわかる。
「まだ寝たい～」
「そろそろ図書館閉館だってさ。結局あんまり勉強出来なかったね。」
「え？もうそんな時間？10分後に起こしてって言ったじゃん！」
　居眠りのせいでピントの合わない目のまま彼を見上げる。
　そういえば、こうやって彼を見上げる事なんて初めてだ。
　いつもは、彼が見上げているから。
「なんか、寝起き間抜けな顔だよ。」
「何それ！ひどい！もう、狂平くんの意地悪。」
「えー、かなちゃん可愛いのに。」
「やだー、メイクよれてる！」
「もー、良く寝起きでそんなに大きな声出せるね。」
「10分後に起こしてって言ったのに一時間も放置したのは狂平くんでしょ！」
　やっとピントが合ってきた。
　狂平くんの顔がはっきり見えるようになってくると、
　いつもみたいに狂平くんの眼を見下ろす形になっていると、狂平くんは「ちぇっ」と小さく言って、ニヤッと笑った。
「かなちゃん可愛いよ？」
「綺麗な顔してそういう事言うんだから～。」
「起きたときのお間抜けな顔も可愛いから、とびっきり可愛い顔を見るために起こさなかったんだよ？」
「悪趣味。」
「ひど！」
「酷いのはどっち？」
　よれたメイクをすぐに直して、椅子を引く。
　立ち上がってのびをすると、狂平くんのも立ち上がる。
　背の低さを気にしてめったに横を歩いてくれないのに、今日はいつもより距離が近く、肩と腕が触れあう。
　私より体温の高い狂平くんの手を初めて、この手で触れてみたい衝動に駆られて、手を伸ばそうとする。
　けれど、狂平くんは、あっと声を上げ、私の行動を止める。
「まって、まつげついてる。」
　狂平くんは私の顔に手を伸ばし、そっと優しく右目の横に触れた。
「チャンス逃したなー」
「なんのチャンス？」
　狂平くんは、いつもみたいに前を歩き、私を見上げる。
「秘密。」
　鈴の音のような狂平くんの声は軽やかで、美しくて、それでいて優しい。
「帰ろ？」
「うん。」
　靴を履き替えた狂平くんの手をグイッと掴む。
　狂平くんの手は、とってもとっても暖かい。

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貴方は創作意欲がわいたら『寝起きの間抜けな顔にキュンとする狂せぐ』をかいてみましょう。幸せにしてあげてください。
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