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黙りこくった団員達に視線を向けながら、Aは上手く回らない頭で考える。
え、私___え?
………私が出ればヒカリは助かる…?
初対面ではあるがそれなりに仲良くなった後である。基本的に子供が好きなAの頭の中には、ヒカリを見捨てるという選択肢は存在しなかった。
いざ名乗り出ようと口を開く。
「“わたし“がAだよ」
否、名乗り出ようとした。実際に発言したのはコハク。彼は唇の端に笑みをのせ、男達の方へ歩いていく。
彼の容姿は中性的なので、女性だと言っても違和感はない。一人称を変えれば尚更だ。
一瞬視線を感じて、コハクを盗み見る。
しかし既にコハクは目線を外し、覆面の男と交渉を始めていた。それによって解放されたヒカリ。ヒカルは駆け寄ってきたヒカリを強く抱き締めた。
どうしよう………。
ヒカリは解放されたが、事態は一向に変わらない。むしろ悪化していた。
コハクのこめかみに押し付けられる銃口。
彼は命の危機に陥っているにも関わらず、何時もと同じように笑っていた。
「天怜A___芽は若いうちに摘んでおくのみ」
男はそう言い放ち、そして____
____引き金をひいた。
「_______!!」
伸ばした手は空を掴み、前に重心が傾いていたせいで地面に倒れ込む。そこで漸く、Aは周りの状況がおかしい事に気づいた。
時間が__止まっている?
リンネもヒスイもヒカリの涙も。全て彫刻のように固まって動かない。覆面の男も指を引き金に掛けた状態で静止している。
誰もが時が止まったかのように硬直している。しかし、その中で動ける者が一人。
「それが君の異能力か」
コハクは微笑みながら断定するかのように言った。
「え、私、でも時が止まって」
「僕の異能力は“目に入っている範囲の異能を操る“事ができる。よって君の異能は僕に効かなかった」
混乱するAをおいて、コハクは唄うように続ける。
「時空を操る神の所業。それが君の異能力だ」
彼女が自分の異能を理解するように仕向けたコハクは、倒れ込んだまま動かないAへと歩みを進め、手を差し伸べた。
「これから君は沢山の組織に狙われ続けるだろう。君の異能は貴重だ。でも僕達なら___
____曙探偵団なら、身を隠せる」
眩しく笑うコハクの目には、曙探偵団への愛情が込もっていた。
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美紅(プロフ) - リクは15歳編、男主の8歳の家出と13歳の中学生の美少女、刑事のベテランと若き警察官、GSSと組んだ銃を持つ14歳の少女鈴奈と8年前家族崩壊全員いない9歳の少年忍、ニュースアナウンサー男女、放火された人お店と学校と近所をお願いします (2021年10月21日 1時) (レス) id: 2c9c8b9b13 (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - 来世は推しの部屋の隅の埃になりたいさん» またリクで行きましょう (2021年7月5日 23時) (レス) id: 2c9c8b9b13 (このIDを非表示/違反報告)
来世は推しの部屋の隅の埃になりたい - 美紅さん» 返信遅くなってすいません!!リクや応援の言葉ありがとうございました!!いやぁ本当に……感謝しても仕切れません。長々と読んでいただき、ありがとうございました!! (2021年7月5日 21時) (レス) id: e8c2fa60f6 (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - お疲れ様、長く書くのは大変ですね (2021年6月28日 0時) (レス) id: 2c9c8b9b13 (このIDを非表示/違反報告)
来世は推しの部屋の隅の埃になりたい - 柊琥珀さん» マジですか!ありがとうございますッッ!!あの話はわりと深夜テンションで書いてたので……(笑)読んでいただけて嬉しいです! (2021年3月25日 21時) (レス) id: e8c2fa60f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:来世は推しの部屋の隅の埃になりたい | 作成日時:2020年8月21日 14時