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「冷蔵庫のプリン食べられた」
そう言いながら探偵社に乗り込んできた少女。
始まりは本当些細な、クッソどうでもいい事だった。
**
とある場所の地下室に、ドタドタと響く足音。その足音に、嗚呼、今頃気づいたか、と室内の男は振り替える。
現れた少女は、端正な顔を僅かに歪ませながら叫んだ。
「兄様!!僕のプリン食べただろ!!」
その責めるような声音に、男__フョードル・ドストエフスキーはわざとらしく首を傾けた。
「あれ、Aのでしたっけ」
全く悪びれた様子のない兄の姿に、ぐぬ、と意味のない呻き声が漏れる。
この兄は何時もそうなのだ。口喧嘩だと速攻で負ける。論理的に理路整然と語られ三秒で終わる。
でも、そんなAにも秘策が……!!
「ふはははは!!残念だったな兄様!!今日の僕は一味違うのだ!!何故なら__」
「プリンの蓋に名前を書いておいたからな」
ドヤ顔で兄に人差し指を向けながら言い放つA。
真顔+ドヤ顔+仁王立ち……。
………絶妙にウザかったとだけ言っておこう。
そんな妹の姿にちょっとだけ苛ついた魔人は、言いくるめるべく口を開いた。
「もう容器は無いようですが」
その言葉にすんっと真顔になるA。いや、元々真顔ではあったのだが、微妙に眉と口角が上がっていたのが元の位置に戻った。
因みに捨てたのはゴンチャロフである。日々主の為に働く彼は、主の前に置かれた空の容器を見過ごさなかった。
それも折り込み済みのフョードルは流石魔人と言ったところか。
そもそも何故そこまで兄妹揃ってプリンに必死なのか。それはそのプリンが一日限定で発売されていた幻のプリンだからである。
濃厚なカスタードに絡まる程よく苦いカラメル……!!全部自家製らしい。
とかまあそんな訳で、三時間弱並んで手に入れたプリンを兄にとられたのだ。そりゃあ悔しいだろう。
………買ったのはゴンチャロフだが。
そうして勃発した口喧嘩。今回ばかりはAも粘った。食べ物の恨みだ。
そして耐えきれなくなったAの一言。
「僕、暫く家出するから!!」
固まる兄を残して、嵐のような少女は来たときと同じようにドタドタと足音を響かせ去っていった。
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ドストさんの表記がいっぱい在りすぎて……。
表記を変えてるのに特に他意は無いです。
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美紅(プロフ) - リクは15歳編、男主の8歳の家出と13歳の中学生の美少女、刑事のベテランと若き警察官、GSSと組んだ銃を持つ14歳の少女鈴奈と8年前家族崩壊全員いない9歳の少年忍、ニュースアナウンサー男女、放火された人お店と学校と近所をお願いします (2021年10月21日 1時) (レス) id: 2c9c8b9b13 (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - 来世は推しの部屋の隅の埃になりたいさん» またリクで行きましょう (2021年7月5日 23時) (レス) id: 2c9c8b9b13 (このIDを非表示/違反報告)
来世は推しの部屋の隅の埃になりたい - 美紅さん» 返信遅くなってすいません!!リクや応援の言葉ありがとうございました!!いやぁ本当に……感謝しても仕切れません。長々と読んでいただき、ありがとうございました!! (2021年7月5日 21時) (レス) id: e8c2fa60f6 (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - お疲れ様、長く書くのは大変ですね (2021年6月28日 0時) (レス) id: 2c9c8b9b13 (このIDを非表示/違反報告)
来世は推しの部屋の隅の埃になりたい - 柊琥珀さん» マジですか!ありがとうございますッッ!!あの話はわりと深夜テンションで書いてたので……(笑)読んでいただけて嬉しいです! (2021年3月25日 21時) (レス) id: e8c2fa60f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:来世は推しの部屋の隅の埃になりたい | 作成日時:2020年8月21日 14時