裏切りとの戦いは知っている 奮闘編

対峙３ ページ23

「は……？」
西野さんのナイフを握る手が少し緩んだ。
三花はその隙を逃さずナイフを地面に叩きつけた。
「探偵が一番苦労する時、それは犯人を名指しする時。
それはあなたもよくわかっているでしょう？
名指しする時にどれだけ犯人を逆上させない言葉を使うか。
あなたも探偵なら普段の生活での言葉遣いから考えていなくてどうするの」
「そんなのどうでも良いじゃない！関係ないわ！！」
三花は首を横に振る。
「いいえ。
あなたはあれくらいの推理できるとか言っていたけど、あなたは事件の度に犯人を逆上させてたわね。
それじゃあメディアに取り上げられなくても無理もないわ」
「なによっ！それっ」
「さらにあなたはこうも言った。
テレビや雑誌に出るというゴールを手に入れたんだからって。
悪いけど、テレビや雑誌に出るという事は、目標だけどゴールじゃないと思ってるわ。
道は続いているって思っているし。
勘違いしないでもらえる？」
西野さんはギリッと歯ぎしりする。
「人を傷つけた人に言われたくないわ！」
「私は誰も傷つけてないはずよ。
それに、人間生きてりゃ傷くらい付くわ！」
「人の目標を取ったくせに、そんな事を言えるのかなぁ？」
「あなたは道を奪ったとか言ってたけれど、
道は１つしかないのかしら?
寄り道、わき道、回り道、どれもすべて道。
という言葉があるわ。
道は１つではないはずよ。
私が表で取り上げられている間に推理力や語彙力を培ってjk探偵になるのもできるんじゃないの
どんなに険しい道でも、それが自分で決断した事なら、嘘偽りのない自分だけの道。
という言葉もある。
探偵はいつでも冷静に、恐れず行動しなければいけない。
あなたはまだそれを分かってないようね。
探偵、向いてないんじゃないの？｣
西野さんはその場に崩れ落ちた。

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