Ep.28 つまりフラグはその辺にあるってことですよね。 ページ31
待て。
一旦思考を整理しよう。こういう時こそ冷静に……
……冷静に？
いや、無理。
元だけど、確かに元だけど、主君に凶器……？
しかも落下時間を考えるとかなり危な……違う、そうじゃない。
動揺しすぎて何故か状況分析し始めたけど、今やらなきゃいけないことはそうじゃなくて
手すりに足を掛けて飛び降りようとする衝動を「それを今の私でやったらさすがに死ぬ」と理性で抑え込み、勢いよく空中歩道の手すりから体を離す。
ここからなら、万文集舎の前を通った方が早い。
急に万文集舎に向けて猛然と走り出した私を見て、紀芳さんが顔を引きつらせた。
驚かせてすみません、紀芳さん。
通りがかりに「お騒がせしました！！」と言い残し、階段を駆け下りる。
手すりを飛び越えてショートカットしたいところだが、残念ながら今の私にそこまで高度な運動能力は備わっていない。
一番下まで半ば転げ落ちるように駆け下りて、その勢いを殺せずにふらつく。
体勢を立て直して顔を上げようとするのと、自分に「誰か」の影がかかるのは同時だった。
「そんなに急がずとも、俺がこの本を持ったままこの場を去ることはないぞ。」
つい昨日、聞いた声。
でも声をかけた対象は、昨日とは違う。
間違いなく、これは、「私」に向けられた言葉だ。
息を整えるふりをして、深呼吸。
「＿＿まさか、貴方様にそんな疑いは一切かけておりません。本当に、大変申し訳ございませんでした。…お怪我はございませんか？」
深く頭を下げる。
大丈夫、おかしいところはないはずだ。
店にとってのお得意様を危険な目に合わせてしまって焦る店員。大丈夫、変じゃない。
これが、私にとって「主君に凶器を投げつけたことへの謝罪」だとしても、気付かれない。
まぁ……本来なら土下座しても許されないけど…
「あぁ、俺は問題ない。気にするな」
その言葉を聞いて恐る恐る顔を上げると、今回の騒動の元凶が目の前に差し出された。
多少恨めしい気持ちになりながら、本を受け取ってもう一度頭を下げる。
「この度は本当に申し訳ございませんでした。何かお詫びをさせてください。」
「……ふむ、俺は気にしていないんだが…そうだな。それなら少し聞かせて欲しいことがある。」
何かを思案するように、鍾離様が顎に手を添える。
＿＿嫌な予感がした。
「昨日話していた琉璃百合の花畑について、他に知っていることがあれば教えてもらいたい。」
あぁ、もう
こうなる気がしたから接触したくなかったのに。
Ep.29 つまり腹を括るしかないってことでよろしいか？→←Ep.27 運命は色々な意味で私の味方をしてくれない。
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ブックマーク＠りんごおれ(プロフ) - ものすごく最高です応援しています！ (2023年3月4日 17時) (
レス) id: 30dece2dde (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ありがとうございます……！ 大遅刻更新ですが、良ければこれからもどうぞよろしくお願いいたします……！ (2022年12月23日 22時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - とても面白い作品ですね！！楽しく読ませてもらっています。更新楽しみにしてますね！！！ (2022年12月2日 22時) (レス) id: 7981f63c4d (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - 有害物質さん» 読んで頂きありがとうございます！ 更新頻度は遅くなってしまっていますが、これからも楽しんでいただけたら嬉しいです……！ (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ゆいﾋﾟさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます……！ もうなんと言いますかどんどん無料で読んで頂ければ嬉しいですといいますか……！ 良ければこれからもどうぞよろしくお願い致します…！！ (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろぐみ | 作成日時：2022年3月30日 16時
