Ep.24 つまり少女よ、前を向けってことでよろしいか? ページ27
「……今日が休日で、本当に良かった…」
鍾離様と「公子」に「琉璃百合の花畑」について口を滑らせた翌日
私は一人、自室の布団の中で唸っていた。
議題はもちろん、「鍾離様を誤魔化せたか否か」である。
もうこの際「公子」はどうにかなると思おう。
彼は私に秘密があるところまではわかっても、その秘密が何かはわからないだろうし
それに、ファデュイに不利益をもたらすことのない善良ないち国民を完全に消し去るほど彼らは暇じゃない、はず。
問題は確実に鍾離様の方だ。
あの方は下手をすればあの一言だけで……いや、最悪の想像はするものじゃない。
……あの方は、もし私が『彼女』だと知ったなら、間違いなく気にかけてくださるだろう。
…でも、それではいけないのだ。
そう、いけない。様々な意味で。
私が記憶を持った別人と判断されるのか、それとも本人だと判断されるのかはわからない。
しかし、……恋情を自覚してしまった今、間違いなく迷惑をかける結果になることだけは理解できる。
「はぁ〜……」
誤魔化せた自信はある。
しかし、あの方が誤魔化されてくれない可能性が大いにあることも予想できる。
……いや、もし後者だとするなら自惚れも甚だしいか? そもそも二周目の私が記憶に留められているかどうかも………いや、これは単純に私が忘れていて欲しいだけだ。
わかっている。あの方が、自分の臣下を忘れるはずがない。
ということはやはり完全に墓穴を……?
「はぁ〜〜………」
悩みは尽きることなく、同時に溜息も尽きることがない。
当たり前だがそんな状態で快適に仕事ができるはずがないので、偶然「問題が起きた日の翌日」に重なってくれたこの休日には感謝しかない。
……感謝しかない、が。
こうして悩んだところで、結局はどうしようもないことも本当はわかっている。
仮に過去に戻れるとしたら、昨日の口を滑らせた私を気絶させてでも黙らせるところだが、生憎この世界にはそんな凄まじい能力を持つ凡人は存在しない。
残念ながら、私も例外なく。
…このまま誤魔化し続けられるのか?
ふと湧いたその問いの答えは、一つしかもっていない。
「__やれるかどうかじゃない。やらなきゃ。」
恋情に振り回されるな。
考えなくてはいけないことはただ一つ、鍾離様が幸せになれる方法だけ。
……押しつぶされた恋情が上げた悲鳴は、聞かなかったことにして
「……よし。」
残りの休日を有意義に消費すべく、私は起き上がって伸びをした。
Ep.25 つまり休日って最高!ってことでよろしいです→←幕間 鯨と龍の食事会
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ブックマーク@りんごおれ(プロフ) - ものすごく最高です応援しています! (2023年3月4日 17時) (レス) id: 30dece2dde (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ありがとうございます……! 大遅刻更新ですが、良ければこれからもどうぞよろしくお願いいたします……! (2022年12月23日 22時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - とても面白い作品ですね!!楽しく読ませてもらっています。更新楽しみにしてますね!!! (2022年12月2日 22時) (レス) id: 7981f63c4d (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - 有害物質さん» 読んで頂きありがとうございます! 更新頻度は遅くなってしまっていますが、これからも楽しんでいただけたら嬉しいです……! (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ゆいピさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます……! もうなんと言いますかどんどん無料で読んで頂ければ嬉しいですといいますか……! 良ければこれからもどうぞよろしくお願い致します…!! (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろぐみ | 作成日時:2022年3月30日 16時