HPが擦り減りゆく【そ.ら.る.】 (ページ7)

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「あ、もうそりゃ確定だ」

『……何言ってんの？』

こいつに話したのがいけなかったのか、話し終わる頃にはもう学校についていて

嫌でも頭に浮かぶのはあいつの顔。

一方私の話を聞くとぶつぶつ独り言を呟き始めた真冬ちゃん。あれだけの観察眼持ってたら何か気付くのかと思ったが

『何かわかったことある………？』

「Aはまだ知らなくていい事」

この無限ループ。ぐるぐるぐるぐる。全く意味が分からない。

『あ、もう靴箱。てか気になるんですけど』

「…うーん、一つ言うとすれば、今日、彼方さんの様子が変わってるかも」

何がどうなってそんな結論に至るのか。真冬ちゃんも頭がいいから、何でも分かるのかな……なんて。

シューズに履き替えて階段をのぼる。まだ雪は降り続いて、もっと積もるかもしれない。
真冬ちゃんとはクラスが隣だから殆ど一緒だ。助かる。

『解せぬ。いいよー自分で考えるから』

「ふふふふ、がんばって～！」

気付いたら手前側の真冬ちゃんの教室で、彼が入っていく。

去り際に一言

「…A。本っ当に嫌になったら、無理せずボクのところにおいでよ？」

いい友達だ。あのくそ野郎のことだろう。
うんと頷いた。

＿

『………え、なにやってるの』

深呼吸して古いドアを引けば、真っ先に飛び込んできた光景。

一ノ瀬君が、誰かの机を雑巾でふいていた

「………………別に、何でも良くない…………？」

私に気付くと一瞬チラッとこっちを向いて、また作業を再開する。嫌そうな顔で。

(…ブスって言わない………………)

明らかに彼のじゃない机。誰か名前は忘れたが、そんなに目立たない男子だったと思う。
驚いて、戸惑って。勝手に進む足にあらがわずにいると、彼の目の前に来ていた。

「……何」

『………………あ、お、はよ』

「誰もお前の声なんか聞きたくない」

いつもだったら若干傷つく言葉も頭の中から通り過ぎる。半分が暴言で塗りつぶされて真っ黒。ずっとこする作業をやめない一ノ瀬君の額には汗が浮かんでいる。

この席の子が、いじめられてたことを思い出す。

それなのに今まで机が汚れてなかったのは、もしかして、彼が朝早く来て消していたからだろうか。

いつも、一人で。

『…………いつも早く来てるのは……、この、ため……？』

自分でも声が上ずっているのがわかった。

「……………………ん」

『な、何で……？』

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「…朝自分の机にラクガキあったら、ショックだから」