お嬢様な君と執事な俺 (ページ21)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:115,695 hit

21. ページ21

.

気付けば次の日のお昼頃。
あれから沢山、目が腫れるほどに泣いた。

"明日は一日部屋で休んでいなさい"

その言葉を残し去っていった父。

どうして、どうして好きだと思う人の傍に居てはいけないの。

また明日と言ってくれた廉には会えず終いで、挙句の果てにはもう別のところに飛ばされてしまうなんて

もう、一生会えない。
最悪のシナリオが頭に出来上がる。

そんなの嫌だ、耐えられない。

気付けばもう外は薄暗くて、何時間もただひたすらに考えて頭を悩ませていたけど漸く決意が固まった。

廉に、会いに行こう。

そう思って勢いよくドアノブを捻ったのに

『…っなんで…！』

ピクリともしないそれに悟った。

きっと廉は今日、どこかへ行ってしまう

だから父は私を一歩も部屋から出さないようにしたんだ。

その時、外からは何やら話し声が聞こえる。

急いで窓を開け二階にある自室から覗いてみれば、廉の姿と父や紫耀の姿。

「屋敷に着いたら門のところに迎えが立っているそうだ、そこまではすまないが地図通りに行ってくれ」

｢わかりました。｣

そんな会話も聞こえてきて。

開かない扉から出来るのは不可能
どうすれば下にいける？

考えて、早くしなきゃ廉が行っちゃう…！

『誰か…っ誰か居ないのッ！？』

ドンドンと叩き訴えるけど誰かがこの部屋の前を通る気配は一切ない。

嫌だ…こんな別れ方あんまりよ、

自分の視界が涙で霞んでいく。

廉が、どこか遠くへ行っちゃうのに…
私は…私は…っ

ただここで泣いていることしか出来ないなんて

『…れん…ッッ』

私の静かな震える声は本人の耳に届くことなく、この目の前の重く閉ざされた扉に吸収される。

ドンドンと叩きすぎて手は赤くなってしまっていてズキズキと痛むけれど、そんな痛み比にならないくらいに心が痛い。

痛い…痛いよ、苦しいよ…

『…誰か…、たすけて…っ』

そう呟き体が崩れ落ちると同時に、その重く閉ざされた扉から光が差し込んだ。

.