普通が恋したお嬢様 (ページ10)

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渡side

こいつに何がわかる。

何か起こっても金で捩じ伏せることが出来るこいつに何がわかる。

渡「お嬢様には分かんないかもしんないけど、俺たちだって必死なんだよ！
ちょっとでも話がズレたら、周りに合わせられなかったら学校生活が上手くいかなくなる。」

『....もしかして今から真剣な話をしようとしてますか？』

.....無理。俺こいつ無理。

『では場所を移しましょう！』

頭痛くなってきた、アホなの？こいつアホなの？

『大丈夫です！どうせ先生は授業が終わるまで廊下にいるかなんて確認はしませんし、問題ありません！さあ行きましょう！』

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ

結局腕を引かれるまま人目につかない場所まで連れてこられてしまった。

『さ！もう大丈夫です！お話ください！』

渡「....いやもういい。何か忘れた。」

『渡辺くんは記憶力が悪いのですね....』

もう決めた。俺は喋んない。何も言わない。

『ソレです！その顔！』

渡「.....」

睨みを利かせてみたら顔を注意して来た。
俺一応かっこいいとか言われるんだけど...

『眉間にシワを寄せて生きるより笑っていた方が幸せだと思いませんか？((ﾆｺｯ』

渡「っ！....」

『そうやって強く見せている理由は何でしょう？』

渡「っわかんねぇよ！お嬢様には！」

『わかるかわからないかはお話を聞いてから私が判断します。あなたが判断する事ではありません。』

.....言ったら何か変わるだろうか

わからないけど、何か、

言いたくなった。

渡「....俺はずっと強がることでカースト上位を守り続けてきた。
目立ったいじめはこの学園には確かにないかもしれない、でも人のいざこざはどうやっても無くせる物じゃない。
だったら上の人間になればいい、そう思ってた。
凄いねって言われても俺の"凄い"は所詮作り物だから誇れる物なんて何も無かった。」

俺はずっとそうだ。
ふっかや康二みたいに底なしに優しくもなければ、めめみたいに誰が見てもスタイルのいいイケメンな訳でもない。

本当に普通の人間なんだ。

『そうは思いませんよ？』

渡「...？」