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#2 ページ3

肩を叩くと、彼女は大袈裟に身体を震わせた。


「だ、誰ですか」


振り返らず、怯えるように声を出した立花。こいつ、もしかして俺のこと変質者とか想ってないか?
ちゃんと正直に名乗らないと。


「上杉だけど」
「…え?」


ぐるんと勢いよく振り返った立花。舞い上がるショコラブラウン。
キョトンとした顔から、ふわっとした柔らかい笑顔に変わる。周りに花が咲いた。

「なんだ、上杉くんか。びっくりした」
「驚かせてごめん」
「いいのいいの!それより、どうしたの?」


こういう時、素直に話がしたかったとか言えばいいのか?それとも誤魔化すのか?

いや、俺には前者は厳しすぎる。
なんて返そう。
そう考えた時、俺は思い出した。

偶然会ったということを俺は装っていたということを。
これは勝ちゲーでは?
自分の口角がキュッと上がった。

「歩いてたら立花がいたから。話しかけようかなって」
「そうなんだ!上杉くんもここが通学ルートなんだね」
「まぁ、うん」


やべぇ、可愛い。
鼻血が出るくらい可愛い。
俺はこの無自覚テロリストに殺されるのか?


「これからどこ行くの?」

照れ隠しにと話を切り替える。


「あ、えぇと、まぁ、しゅ、秀明…」


その瞬間、彼女の周りから花が消えた。
やっぱりか。立花は目立つことがとても嫌いだ。とてもどころではない。死ぬほど嫌いだ。

俺の様な奴と一緒にいるとどうしても目立ってしまう。野次馬のように、ただただ叫ぶだけの女子たちが集まって有る事無い事言いまくる。

だから女は嫌いなんだ。

俺も秀明に行こうと思っていたのに。
行けないじゃないか。

「一緒に行く?」
「…え?い、一緒に?」
「うん。一緒に行こ」
「……うん。わかった。一緒に行こう」


無理矢理な笑顔を浮かべた立花。
わざと知らないふりして歩き出すと、ある程度の距離を置いてついてくる立花。

わー。手繋いで引っ張りたい。あわよくばそのままいい雰囲気になりたい。
とろとろ歩いてる彼女は俯向き気味。

「…立花」
「…あ、な、何…?」
「そんなに俺と一緒なの、いや?」

ポロリと零れ落ちた本音。
驚いたように目を見開いた彼女は、すぐに先程のように俯く。

さらさらなショコラブラウンに隠れた彼女の顔は、こちらが伺うことはできない。

「い、嫌じゃ、ない、けど…」
「うん」
「目立っちゃうっていうか、上杉くんみたいなキラキラした人に、私って釣り合わないし…」



「はぁ?」

おひさ浮上→←#1



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カナ - 続きが気になって、一気読みしました!上杉くんとアーヤの距離感がたまりません!これからも、応援してます!頑張ってください!!! (2018年8月21日 8時) (レス) id: 8bd6d7e050 (このIDを非表示/違反報告)
- とっても面白いです!コロコロと変わる上杉くんの感情がたまりません…!これからも応援しています。無理しない程度に頑張ってください! (2018年6月24日 22時) (レス) id: 6ded3b00aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怪獣@そら96は至福 | 作成日時:2018年6月9日 13時

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