はやみねキャラと過ごす日常・５

教授side 沈黙を破る者 ページ39

教授side


ふう……。
やっぱり久しぶりに脳を動かすと疲れるものだ。牛乳ドーナツは食べおわったし、次は余った牛乳で牛乳寒天でもつくってもらいたいな。
みかんの缶詰がはいったやつ、と目を閉じて想像するだけでツーッとよだれがでてきた。

あのクッキーがしょっぱかったとき、ぼくは全てを悟った。
Aちゃんが人にあげるためのクッキーに、砂糖と塩を間違えて入れてしまったこと。
ぼくがそれをもらったということは、その時点でまだAちゃんはそれに気づいていなかったことになる。
なら、なぜその相手はAちゃんに何も言わなかったし、気づかせなかったのか？

まだ食べていなかった、ということはないと思う。
なぜかって？……ぼくならそうしてるからさ！
あとAちゃんの焦り具合とあの反応から食べているんだろうなとは予想がついた。

潔癖な人とか例外もあるけど、星を見に行くことにちなんで星型にくりぬいてあるのだし、開けるのに手間取らないラッピングだったし、瓶は透明で衛生が良さそうだった。(なぜ包装を知ってるのかって？それは企業秘密)

とにかく、名探偵のぼくにはその時点で全て分かった。
Aちゃんにそれを食べさせないように、なおかつ喜ばせた上でミスに気づかせないようにする。
なぜそこまでするのか？

──それは、相手が好意をもっているから。

たぶん、Aちゃんのことが好きでデートに誘ったのだと思う。夜中に連れ出すなんてけしからんことなんだけど、相手が大人の場合もあるからそこは半分だけ目をつぶろう。

問題は、このことをAちゃんに気づかせるべきかどうかだった。
このことでずいぶん迷った。ぼくがこの場で全て食べてしまえば証拠隠滅にもなるし、Aちゃんも何も知らずにすんだ。
でも、こんなしょっぱいものを顔色一つ変えずに騙し抜いたのだから、それほどあの子のことを愛しているのだろう。
その気持ちがどうやら軽いものではなさそうだったので、一つ株をあげてやろうと思ったのだ。これが本当の「敵に塩を送る」というやつ！
本来は同じ気持ちを抱くもの同士“らいばる”と呼んだりするんだろうけど、今回のぼくは焼き餅……ヤキモチを妬く以上に相手の度胸に尊敬したからね。

……鈍感だから、向こうの気持ちには気づかなかったようだけど。

ふわあ、と大きなあくびをする。
やっぱり頭を動かすのは疲れる。今日はもう遅いし寝よう、とぼくはまた寝がえりをうった。

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