スられた事物 ページ40
「まあ、その話はとりあえずおいとこう。……だいぶ気になるが」
神宮寺さんがチョイチョイと空気を脇にどける仕草をする。そして、懐から何かを取り出した。
「これ、なにか分かるか？」
『！これって……私の携帯じゃないですか！』
あわててとりあげて確認するとやはり私のものだ。
『いつの間に……』
「きのう来たときから。Aちゃんスッても気づかないんだもん」
「まあ、これで携帯依存症じゃないことが分かったけどね」と鷲尾さんが舌を出す。
「おれたちの連絡先も入れておいた。安心しろ、Aの個人情報は見てない」
『それは、どうも……』
個人情報もなにも、ここに来るまえに私のことを調べてたじゃないか。
『なんで、とりあげたんですか？ 』
「へたに外部に連絡されたら迷惑だからな、特にあいつらとか」
……誘拐犯のセリフみたいだ。
「ところでA、栗井栄太に入らないか？」
『へ？』
なんか今ものすごく大事な提案をサラッと言われた気がする。
しかし、この空間の八つの目が、どこか期待を含んだような眼差しを向けてきているのに気づく。
『いや、でも私、創也くんの仲間ですし』
「正式な仲間なのか？」
『それは……』
私はうつむいてだまりこむ。
たしかに私は、砦の鍵を持っていない。たいていの場合は、内人くんから借りている。
──私、信用されていないのかな……。
「無理にとは言わねえ。ただAがいたら楽しそうだからな」
『いや、でも私は……』
私は、何もできない。みんなみたいなすごいことが、何一つ。
黙ったままの私を見て、神宮寺さんが肩を落とす。
「そうか」
残念そうな彼に少しの罪悪感をおぼえた。
『でも、友達じゃないですか』
「ああ、そうか、うん、そうだな！いつでも来いよ」
一瞬にして機嫌がなおる神宮寺さん。
柳川さんが「単純」と聞こえないようにつぶやいていた。
『ところで、鷲尾さん』
「麗亜でいいわよ。お友達じゃない」
『麗亜さん、そろそろおいとましてもよろしいでしょうか？』
「ああ、いいわよ。でも、おむかえが来るからそれまで待っててね」
意味ありげに赤いマニキュアがぬられた爪を私の口にあてる麗亜さん。
『おむかえって……麗亜さんたちの友達ですか？』
「ううん。神宮寺ちゃんが、Aちゃんをむかえにこさせるためにこの番号に連絡したの」
麗亜さんに見せられたその番号を見て、私の顔がサッと青ざめる。
まずい……。
ふいに、バタバタと、外が騒がしくなった。
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鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！なかなかの長編になりそうです(汗)更新頑張ります！ (2017年4月29日 11時) (
レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - クイーンが登場！！(≧∀≦)でもまさかの展開ですね！？��(ﾟДﾟ)続きが気になります…！ (2017年4月27日 23時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» 喜んでいただけて何よりです(*^_^*) (2017年3月15日 7時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - わぁあ！！神宮寺さん！！(≧∀≦)素敵です！！ (2017年3月14日 11時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！頑張って更新しますね( ´ ▽ ` )ﾉ (2017年3月12日 17時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥羽 | 作成日時：2017年2月11日 21時
