ジュリアスside 不可解な感情 ページ35
ジュリアスside
カチコチカチコチ……。
掛け時計の音が部屋に響く中、ぼくはパソコンのキーをカタカタ打つ。
肩がこってきた。それに、目も痛い。
少し休めようとまぶたをとじると、しぜんと考えごとをしてしまうのは昔からのくせだ。
うーんとのびをして、首を曲げるとポキポキという音がする。
「小学生のくせにそんな動作をするなんて、おじいちゃんみたいね」
頭のなかからしゃしゃり出てきた姫を追いだす。このとき、
「ぼくがおじいちゃんなら、姫は仙人だね」
などという、余計なことを言わないのがコツだ。さもないといくら妄想の中でもすごいダメージをくらってしまう。
姫を追いだすと、かわりに今日の客人……Aの顔が思いうかぶ。
Aというのは不思議な人だ。初対面でぼくがれっきとした日本人であることを見抜いたのは驚いたけど、話すともっと不思議な人だ。
『ジュリアスくんと、仲良くなりたかったから』
ほおを染めるAの顔が脳裏に焼けついてはなれない。
もちろん、彼女はただの友人だ。恋愛感情なんてみじんもない。ないったらない。
だというのに、気になって仕方がないのだ。脳内を余計なもので埋め尽くされて、他のことに頭が回らず何も手につかない感覚。
「あー、もう！」
机をドンと叩く。この、どうにもならないモヤモヤした感情。これ、なんていうんだろうか？
ジュリエットに相談してみようか。
「お兄ちゃん、起こさんといてよ！」
その言葉とともにすごい勢いで枕が飛んできて、顔面にヒットする。
そこまで想像したぼくは、考えるのをやめた。
どうやら今夜は、眠れそうにない。
「……」
作業が行き詰まり、今日はこれ以上どうにもならないと判断したぼくは、パソコンを落として、部屋を出る。
向かうのは、ジュリエットの部屋でもトイレでもなくAの部屋だ。
ノックもせずに入ると、隣にベッドがあるにもかかわらずソファーの上で無防備に寝ているAが視界に入る。
なぜ彼女がソファーの上で寝ているのか不思議に思ったけど、それについて深く考える力は、今のぼくにはない。
『すーすー……靴下というものは、いくつあっても足りない……』
どうやらAは熟睡しているようだ。毛布の中にくるまり、能天気に寝息をたてている。
なぜ彼女がそんな不可解な寝言を言っているのかについて考える力も、今のぼくにはない。
ぼくは完全に、思考力を失っていた。
ジュリアスside ソファーの上の眠り姫→←好意、厚意、行為
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鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！なかなかの長編になりそうです(汗)更新頑張ります！ (2017年4月29日 11時) (
レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - クイーンが登場！！(≧∀≦)でもまさかの展開ですね！？��(ﾟДﾟ)続きが気になります…！ (2017年4月27日 23時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» 喜んでいただけて何よりです(*^_^*) (2017年3月15日 7時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - わぁあ！！神宮寺さん！！(≧∀≦)素敵です！！ (2017年3月14日 11時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！頑張って更新しますね( ´ ▽ ` )ﾉ (2017年3月12日 17時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥羽 | 作成日時：2017年2月11日 21時
