神宮寺side 姫からの提案 ページ4
「一目ぼれってやつね〜！いいわ、若いわ、青いわ、名前は、名前は！？」
完全にゴシップ好きのオバサン口調の姫。ここにジュリアスがいたら「ますます老けるよ」とか言って姫が得意な超必殺ブローをお見舞いされていたにちがいない。
でも、ウイロウの好きな人についてはおれも興味があるので、身を乗り出した。素直に身内の成長は嬉しい。
ウイロウはこういう恋バナは初めてなのか、かなりまごついた様子で、「いや、言っても知らんだろ……」とうつむいた。
「えー！おもしろくないじゃない！」
大怪獣──ゴシップ好きのオバサン──もとい姫が、ガッとイスを蹴る。おれは、すかさず倒れそうになるイスをキャッチ。
「……田中、A」
このまま粘っても、姫が諦めてくれないことを察してか、観念したようにウイロウが名前を明かした。
「……！」
息をのむ姫。
「姫、知りあいか？」
その問いには答えず、姫はスーツのポケットから酢コンブを取り出し、口に放りこんだ。その顔は、とても真剣。
「……ひぃんふぅひぃひぃゃん」
酢コンブを噛みながら、姫が呼ぶ。どうやら、「神宮寺ちゃん」と言いたいらしい。
「なんだ？」
「神宮寺ちゃんに提案したいことがあるの。聞いてくれない？」
ニヤリと笑う姫。
おれとウイロウは、顔を見合わせる。姫がこういう笑いかたをする時は、とても厄介なことがおきる前ぶれだ。しかし、同時にとてもワクワクできる。
───飽きさせてくれねえんだよな。
「分かった、聞く。その前に」
おれは、ウイロウを指す。
「ウイロウの恋愛記念に、今夜はとことん飲むぞー！」
「は！？」
「いえーい！ そうこなくっちゃ、神宮寺ちゃん！」
おれは、戸棚から秘蔵のワインを出してくる。
アンリ・ジャイエ ヴォーヌ＝ロマネの千九百九十五年物だ。
「おい！まて、そんなもんこんなときに……」
「大丈夫大丈夫。このワイン、四十五万くらいだったし」
「……ひょっとして、ただ飲みたいだけなんじゃないか？」
ギクッという言葉が口からもれないようにする。
ウイロウがボソッと「おれが入ってる集団、ゲームクリエイターじゃなくて飲みサーだった……」とつぶやく。
「姫、原稿はいいのか？」
「明日のわたしが頑張ってくれるわ❤︎」
Vサインを出す姫。翌日「なんで止めてくれなかったのぉ〜！」という絶叫が館中に轟くことになる。
「かんぱーい！」
ワイングラスをぶつけあい、おれたちの夜は騒がしく更けていった。
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鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！なかなかの長編になりそうです(汗)更新頑張ります！ (2017年4月29日 11時) (
レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - クイーンが登場！！(≧∀≦)でもまさかの展開ですね！？��(ﾟДﾟ)続きが気になります…！ (2017年4月27日 23時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» 喜んでいただけて何よりです(*^_^*) (2017年3月15日 7時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - わぁあ！！神宮寺さん！！(≧∀≦)素敵です！！ (2017年3月14日 11時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！頑張って更新しますね( ´ ▽ ` )ﾉ (2017年3月12日 17時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥羽 | 作成日時：2017年2月11日 21時
