Leucadendron Jade Pearl

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樹side


大「起ーきて、樹。朝ごはん出来たよ」

カーテンを開ける音がして、部屋の中に光が差し込む。

ベッドが軋む音がして薄目を開けると、光よりも白く輝くきょもの美しい顔。

手を伸ばしてその頬を撫でると、その顔が近付いて来て唇が重なる。

樹「おはよ・・・」

幸せな朝。幸せな時間。

愛おしい君。

そのまま彼をベッドに引き摺り込んで抱きしめる。

樹「好き・・・」

大「んふふ・・・もう・・・またご飯冷めちゃうよ」

樹「ふふ。あっため直せばいいよ・・・」

笑い合って視線が絡み合えば、またベッドから離れられなくなるんだ。



あれから少しして遺伝子検査をしたところ、俺ときょもは兄弟では無いと判明した。

確かにきょものママは俺の親父の愛人ではあったけど、出会った頃には彼はすでに産まれていた。

彼女は複数の人とお付き合いがあったみたいで、ホッとした反面、結果彼にとっての本当の父親が誰だったのかはわからなくなってしまった。


大「これで良かったのかも。だってこうして樹と出会えたのは両親のおかげだけど、父親が誰だったかなんて事は関係無いから・・・」

そう言って彼は微笑んだ。




あれから数年。

今日はきょものピアノコンサート。
優吾と2人で鑑賞しに行くのだけれど、迎えに行くといつもの騒ぎが始まった。


ジ「ねーねーねーねー！樹！コンサート終わったら直ぐに優吾帰してよ！！寄り道とかぜーったいさせないでよっ！！ねー！聞いてるーっっ！！？？」

樹「うぜーなぁー！わかってっからっ！！てか、そんなに心配ならコンサート会場前で終わるまで待機してろや！」

ジ「あっっ！なるほど！ナイスアイデア！！」

優吾が思いっきり俺の腹を肘で小突いた。

樹「痛ってぇ！」

優「もう！ジェシーは仕事でしょ！ついて来ないで！ちゃんと帰るから！ね！樹！！」

樹「お・・・おう・・・」

ジ「だって正装したこんな可愛い優吾が誰かにナンパされたら・・・」

優「されませんっ！はいはい！行ってきまーす！」



コンサート会場周囲は大変な賑わいだった。

満員御礼の客席。



最前列のいつもの席に着くと、ステージに出て来た
きょもは、俺に向かって微笑んだ。


しん・・と鎮まりかえる真っ暗なホール。


頭上から照らされる温かな光に包まれるきょも。


そんな彼の左手の薬指には俺とお揃いの指輪。


きょもが天を仰ぎ、その指輪にそっと口付ける。


そしてそれを合図に

静かに

そして厳かに

演奏は始まった。

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