Leucadendron Jade Pearl

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樹side


大「もう2度と会わない」

残酷な現実を突きつけられ言葉を失っていた俺は
なす術もなくきょもが帰って行く姿を、ただただ見送った。

自宅のソファーに全身を沈み込ませる。

悲しいはずなのに涙も出てこないや。

ついこの前まで幸せな気持ちで満たされていたこの部屋も、今や俺の眼には色を無くして灰色にしか見えない。


すると合鍵を使って、さっき電話で助けを求めて呼び出した人物が部屋に入って来た。


優「・・樹。来たよ・・・」

樹「・・ゆ・ご・・」

力が抜けて起き上がれない俺に近付いて来た優吾は
俺の頭を抱え、もう片方の手で背中を優しく撫でてくれた。

優「樹・・・」

樹「優吾・・・俺・・俺・・・」

優「大丈夫・・大丈夫・・・」

樹「なんで・・こんな事になったかなぁ・・・」

悲しいはずなのに何故か涙も出てこない。


優「・・・」

樹「苦しいよ・・・愛してたのに・・・真剣に思ってたのに・・・なんで・・・」



優「樹・・・」


優「泣きな・・・我慢すんな・・・」


その言葉にへその辺りからぐわっと熱いものが込み上げてきやがった。

我慢してたつもりも無かったはずなのに・・


優吾に更に強い力で抱き締められ、決壊したダムみたいに俺の涙腺は崩壊した。


なんだ俺、泣きたかったんだ・・・。


子供みたいに優吾に縋ってワアワアと大声で泣く情けない俺を、彼はいつまでも優しく抱きしめてくれた。




けど暫くその様子を見守ってくれていた彼は、俺が落ち着いたタイミングを見計らってこう言った。


優「樹・・・よく聞いて。俺は兄ちゃんとしてお前に言う」


優吾がヒュッて息を吸う音。


優「お前馬鹿か！！
そんなに愛してる人の事、簡単に諦めんなよ！！
好きになっちゃったんならしょうがないじゃん！！」

優「・・兄弟だとか・・そんなのもうどうでもいいよ。そう思わない？」


樹「へ？・・優吾・・・マジか・・・」


樹「お前スゲー事言ってんな・・・。ハハ・・・ハハハ・・・」



冗談だと思ったのに、優吾の真剣な眼差しにハッとなる。

そして誰よりも常識人だと思っていた彼の言葉に心が揺らいだ。



優「俺は・・・樹にはもう苦しんで欲しくない・・・
幸せになって欲しいんだ。ただそれだけ。へへ・・」


微笑んで照れながらポロポロと涙を流す彼のその優しさに俺は勇気を貰った。

そうだ。

もう一度ちゃんと話そう。
そして本当に兄弟なのか調べよう。
そして結果がどうであれ、彼を愛そうと。

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