逢魔時にご注意を。 (ページ15)

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"この度は私のパーティーに足を運んで頂きありがとうございます"

『いえこちらこそ。こちらの国の勝手が分からないままの私を招待して頂き光栄です。』

"とても綺麗なドレスだ……美しい"

「すみません。お嬢様に触れられるのはお辞めください。」

"おっと……ははは。優秀なボディーガードだ"

『今夜は楽しませて頂きますね』

ターゲットはニタリと笑い握手を求めてくる

ここで拒否をするのは不自然と思い遠慮がちに手を差し伸べればじんわりと手汗の含んだ手のひらに包まれる

別の招待客への挨拶に回るターゲットの後ろ姿を見ながらキュッと照くんに手を繋がれる

それは康二くんからも見えないように

『え』

「……上書き」

『……』

「見すぎ」

『あの……その……』

「A？どないした？顔赤ない？毒でも盛られたんか？」

『だいじょうぶっ……慣れっこだから、』

「ふふっ」

「照にぃ笑いすぎやで」

「康二、集中」

「自分もやで」

『私も集中する』

ゆっくりと離された手にもう一度照くんを見上げるけど視線は合わなくて下を向く

"「さ、準備はいいかな」"

「遅い」

「はよ指示ちょうだいや～」

"「お前らねえ～～…まあいいや。主役は奥の部屋で招待客リストと寄付金を見比べてにやけ顔だ。依頼主の宝石はその部屋の金庫に入ってるみたいよ～」"

『じゃあどうやって中に入れば……』

"「そ～んなの簡単よ。……会場でちょっとした騒ぎを起こせばいい。」"

ふっかさんの声が途切れたと同時にガタンとブレーカーが落ちてBGMも照明も全ての力を無くす

照くんと康二くんが触れられる距離にいて庇ってくれようとするのがよく分かる

バタバタと足音が大きくなりターゲットの"どうなってる！"と慌てた声が会場に響く

"「今だよ。動いて。」"

ふっかさんからのGOサインが聞こえて暗闇にも目が慣れてきたからすぐに会場を出られた

だけど廊下まで真っ暗で3人して足が止まってしまう

現場の物、壁、床全てに触れてはならない。もしも残してしまったなら指紋、足跡、記憶全てを消すまでが怪盗 snowの決まりになっている

"「俺を信じて～～そのまままっすぐ突っ走って。そしたら右側から唯一光りの灯る部屋が見えてくるから。床に躓くものはなにもなし、騒ぎで多少の音なら気づかれないよ」"

「ブレーカー落としたのってあべちゃんなん？」

"「まさか。さすがに遠隔操作は出来ないよ」"

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