逢魔時にご注意を。 (ページ14)

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私の前を康二くん、後ろを照くんが等間隔で歩きパーティー会場に溶け込む

優雅なBGMが流れる会場には高そうなドレスやアクセサリーを身に纏う女性客やピシッと皺1つないスーツに身を包む男性客

「……暇人の集まりやな」

「康二、集中」

『こういう空気を常に出しているところのほうがセキュリティ万全で危ないんだよね』

なるべく口を動かさず周りを伺いながら会話を進めていく

ふっかさんからの指示はまだない。

照くんは小型カメラが仕込まれたピアスを揺らすと怪しまれないように会場全体を映してくると傍を離れた

「なあ～A？腹へらへん？」

『食べたら動きづらくなるよ？』

「けどこんなに高そうで美味しそうなもん早々出会えへんで？」

『う～～～ん……けどあまり現場のものに手を付けないのが決まりなんでしょ？』

「そうやけど～……俺なら一瞬やで？絶対バレへん」

スリ常習犯の康二くんは現場に出ると何かしら依頼品以外の、特に食べ物を盗る癖がある

みんなは辞めなさい。捨ててきなさい。って呆れた顔をするみたいだけど、私には気持ちが分かる

そう昔からの習慣を変えることは難しい

それに犯罪に手を染めたのは、生きるため。やりたくてこんなことを始めて慣れていったわけじゃない。

『……康二くん今回はやっぱりダメだよ』

「しょぼん……」

『これが終わったら、ご飯食べ行こう？』

「えっ……Aと？2人で？」

『シッ、シーっ…声大きい』

「あ……けどホンマに？」

小さく頷くと康二くんは上機嫌に鼻歌を歌う

戻ってきた照くんが怪訝そうに見ていたけど気づいていないみたいだった

"「、あー…今夜の主役が会場に付いたみたいよ～」"

『え……あの人……』

「知ってるのか」

『……一度、盗みで』

"「あれ～～もしかしてAさん顔バレしちゃってる相手ぇ～？」"

「それまずいやん……」

『いや顔までは……一応お面とウィッグで変装してたから……』

ニタリと笑った恰幅の良いオジさんがターゲット

組織に飼われる前に単独で盗みに入った家の当主であの当時は全く裕福な感じじゃなかったのに……

やはりこれも不正な金での豪遊生活のせいか

"「Aは西洋の国から招待された客の体で登録しているから焦らずにね」"

『はい……』

「俺が居るから大丈夫やで」

ターゲットは招待客一人一人に挨拶に回り私たちの前でも足を止めた

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