#05 私は無力な人間です。 ページ5
「………悪かった。誰よりも怖かったのは、君だっただろうに」
「、そ、んな、カイトさんが謝ることなんて」
「あったんだ。…そうじゃなかったら、君がそんな苦しそうな顔をすることなんて、なかったろう」
カイトさんが私の頬を撫でる。その事実に動揺するよりも、私の心臓は苦しくてしょうがなかった。
「……私、今、どんな顔してますか？」
「言わなくたって分かるだろう。聞かなくたって分かるんだからな」
「………」
「俺は、自分が非力でなくなって久しい。周りにいた女性も念能力を会得した強者ばかりで、俺が守る必要も無い人ばかりだった。今の俺は…無神経だったかもしれん」
ああ、今優しくされるのはだめだ。今まで溜め込んでいた色んなものが、決壊してしまう。
彼の手が、私の頬をすり、と撫でる。親指が私の目尻を撫でる。
「我慢することはない。全部吐き出していい。…俺が聞いてやる」
「…そんな、だめですよ。だって、カイトさんはただでさえ私を助けてくれたのに。さっきのは私の気の迷いなんです、忘れてください」
「断る。…あれはきっと、君の“本音”だ。あんなことがあって、君が追い詰められていないわけがない」
優しい声に優しい言葉。それが私の涙腺をじわじわと刺激して、涙が込み上げてくる。さっきもあんなに泣いたのに、あれでも足りなかったっていうのか。確かに怖かった、苦しかったけど、いつまでも泣いてなんていられない、のに。
「……そういえば、君の名前を聞いていなかったな」
「え、あ…A、です」
「そうか。…A。ここには君を咎める人間は誰もいない。泣きたいだけ泣け。弱音だっていくらでも吐いていい。君にはそれが許されている」
口から、震えた吐息が零れる。彼の大きな手に手を重ねて、ぎゅっとその手を握りしめた。
「……こわ、かった。」
「ああ」
「くるしかった…わ、たしが、一体何をしたって言うの…ただ、ただ頑張って生きていただけなのに、こんなことされる筋合いなんてないのに、」
「…そうだな」
「私っ…私は何もしてないのに！どうして…どうして私が虐められなきゃいけないの…！」
恋愛なんてしてる余裕なかった、あの人に私はつり合わなかった、ただ、ただの友人だった、本当にそれだけだったのに。私に出来る精一杯のことをして生きていただけなのに。
背中を丸めて泣く。彼は私が泣き止むまでの間、ずっと、私のそばに居て、私の背中に触れていてくれた。
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色 - ヤバいっす!!!続きがみたいっす!!!男でも憧れそうっす!! (7月16日 22時) (
レス) @page8 id: 9c759aa54d (このIDを非表示/違反報告)
かえる38(プロフ) - 最高です！ めちゃくちゃ尊い…! カイトさん、大好きぃ…！ (2021年6月29日 23時) (レス) id: dc610bcb00 (このIDを非表示/違反報告)
ルカルカ - 更新まだですか？？面白いので楽しみにしてます (2020年8月8日 11時) (レス) id: b9d349ae92 (このIDを非表示/違反報告)
舞桜(プロフ) - 面白いです！HUNTER×HUNTERとのクロスオーバーも最高です。更新頑張ってください！ (2020年3月1日 0時) (レス) id: 44beeb878b (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - カイトさん尊い//// (2018年11月28日 17時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
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