Last retry01 ページ3
俺は泣き崩れていた。
弟はもう現れなかった。
自覚もなしに忘れてしまっていた。
どうしたらいいか分からなかった。
今まで頼りすぎていた。
ただの幻想だとしても俺にとっては大事な弟の記憶だった。
きっとほかのことで思い詰めていたからだと思った。
誰が悪いのかわからなくなった。
俺は更に頭を抱えた。
(兄ちゃん。)
心の中で声が聞こえた。
誰の声かもわからないくせに。
ただ、縋りつくようにその声を聴いた。
(……ごめんね。)
パピルスの声のように聞こえた。
聞こえた……。
(ありがとう。ありがとう。)
聞こえた。
(俺様を
聞こえた。
最後だった。
これが弟の本当の最期の言葉だった。
パピルス。
お前、ジョーク嫌いだったじゃねえかよ。
俺は思った。
幻想とはここまで憎いものなのかと。
俺は何もない空中を殴った。
殴った。
とにかく殴っていた。
意味は見いだせなかった。
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ベクトル(プロフ) - 生茶さん» コメントありがとうございます！特に気をつけて表現した部分なのでとても嬉しいです…！ (2022年9月8日 16時) (
レス) id: d2ab233ccc (このIDを非表示/違反報告)
生茶 - こちらを見透かしているような表現が面白かったです！読んでてニヤリとしてしまいました！ (2022年9月7日 23時) (レス) @page14 id: 34e4e8ddc1 (このIDを非表示/違反報告)
ベクトル(プロフ) - Makaron settoさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけてとても嬉しいです！ (2022年8月14日 14時) (レス) id: d2ab233ccc (このIDを非表示/違反報告)
Makaron setto(プロフ) - 完結おめでとうございます!変わったようなジャンルでとても面白かったです! (2022年8月14日 11時) (レス) @page14 id: 65e676b86a (このIDを非表示/違反報告)
ベクトル(プロフ) - いつもコメントして下さって、ありがとうございます…！これからも執筆活動頑張ります！ (2022年8月6日 16時) (レス) id: d2ab233ccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ベクトル | 作成日時：2022年7月31日 15時
